株主・投資家の皆様

経営方針

トップメッセージ

ご挨拶

私たちの使命であるエネルギーの安定供給と気候変動問題対応の両立を目指し、変化し続けるグローバル社会の中で常に必要とされる会社であり続けられるよう、飽くなきイノベーションに挑み、さらなる企業価値向上を目指します。

渡部肇史

J-POWERグループの企業理念と目指すべき姿

 J-POWERグループは、「人々の求めるエネルギーを不断に提供し、日本と世界の持続可能な発展に貢献する」という企業理念の下、これまで半世紀以上にわたり、時代ごとの社会の要請に応じた電力の安定的な供給に貢献してきました。当社は、社会のエネルギーニーズに対し、技術力を以ってソリューションを考え、必要とされるエネルギーを自ら提供する会社であります。この姿勢は将来にわたっても変わることはありません。これからはグローバルな気候変動問題への対応はもちろんのこと、電力の自由化を機に、より効率的で競争力のあるエネルギー供給が求められています。気候変動問題への対応、すなわち「2050年カーボンニュートラル」に対する挑戦は、持続可能な社会と当社の持続的な成長を両立させることでもあります。社会の要請を受け止め、常に技術の改良と高度化に取り組み、一歩先を見据えて事業を展開していくことで社会に付加価値を提供し、グローバル社会において常に必要とされる会社であり続けたいと考えています。

2020年度の振り返り

くずまき第二風力発電所(2020年12月営業運転開始)
くずまき第二風力発電所(2020年12月営業運転開始)

2020年度は、竹原火力発電所新1号機や鹿島パワー(鹿島火力発電所2号機)、くずまき第二風力発電所の営業運転を開始するなど、手掛けていたプロジェクトがほぼ予定通り完成しました。利益を生み出すアセットが一段積み上がり、営業基盤が厚みを増した1年となりました。一方で、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う電力需要の低下や、日本卸電力取引所の通年の市場価格の低迷と冬期の卸電力取引市場価格高騰による影響を受け、残念ながら実力を十分に発揮することができず、結果として通期の業績は当初の予想を下回る着地となりました。電力自由化の進展に伴う競争の激化によって、卸電力取引市場も活性化し取引の流動性が増す一方で、卸電力取引市場価格の変動が大きくなってきています。2020年度に起きた事象を踏まえて、販売手法の多様化など販売力の強化を図るとともに、適切なリスク管理を行うことで、収益の最大化と安定化を図ってまいります。

世の中の動きに目を向けますと、2020年度は気候変動問題対応に関する大きな動きがあった年でもありました。2020年7月に経済産業大臣が表明した非効率石炭火力フェードアウトをはじめ、2020年秋に政府が「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、2021年5月にはこの目標を明記した改正地球温暖化対策推進法が成立しました。またその移行期間における目標として、2030年度時点で温室効果ガスを46%削減するということも表明され、2030年のエネルギーミックスの見直しが進められています。こうした政策の中で当社は、2021年2月にJ-POWER “BLUE MISSION 2050”を公表し、2050年カーボンニュートラルと水素社会実現に向けた挑戦を表明するとともに、その移行期間である2030年のCO2排出削減-40%という目標を掲げました。

また、気候変動問題をはじめとしたESGの重要課題への一層の取り組みを図るため、2021年4月1日付で「ESG総括」の責任者を副社長執行役員とするとともに、ESGに係る組織改正を実施しました。ESGはすべての企業活動の原点です。当社は従前より、企業価値を向上させるため、常に環境に配慮した事業活動を行い、社会との接点を大切にし、ガバナンスを意識した取り組みを継続してきましたが、ESGへの取り組み方針を明確化し、J-POWERグループが一丸となって取り組むために、各分野の取り組みに横串を刺す専門部署として経営企画部に「ESG・経営調査室」を新設しました。これからも積極的にESGの推進に取り組んでまいります。

  • J-POWERグループ国内発電事業2017~2019年度平均値比

エネルギーを取り巻く環境の変化とJ-POWERグループの挑戦

先に申し上げた通り、近年気候変動問題への対応としてカーボンニュートラルへの急速なシフトが進行しています。国内エネルギー分野においても、電力の長期安定供給に加えて、カーボンニュートラルとの整合の取れた取り組みを早期に示すことが求められています。

日本と世界における安定的かつ十分なエネルギー供給と気候変動問題対応の両立を実現することは、エネルギー企業である当社のミッションであり、大きな挑戦でもあります。当社には日本の戦後経済発展を支えてきた大型水力発電所や、石油危機を契機に導入を進めた海外炭火力発電所、地域間連系線などに加えて、民営化前から積極的に推進してきた再生可能エネルギーや国際事業などの事業分野の広がり、またその事業に従事する人財の層の厚さ、事業開発・運営および技術ノウハウの蓄積といった各要素が協調してシナジーを発揮することで生まれる「総合力」という強みがあります。この「総合力」を発揮して、当社がこれまで培った技術を改良・高度化し、組み合わせることによって、この課題に取り組んでまいります。

J-POWER “BLUE MISSION 2050”

当社は2021年2月に、J-POWER “BLUE MISSION 2050”を公表しました。2050年におけるカーボンニュートラル社会の実現に向けた当社の取り組みの方向性と道筋を示したものです。技術の力でエネルギーの安定供給とCO2排出量の削減を同時に実現し、2050年のカーボンニュートラルと2030年のCO2排出量40%削減を目標としています。

2030年までに、経年化した石炭火力の稼働を抑制することでCO2削減目標の達成を目指します。さらに2050年に向けては、目標を達成するための3つの柱、「CO2フリー電源の拡大」、「CO2フリー水素エネルギーと電源のゼロエミッション化」、「電力ネットワーク」を掲げています。

J-POWER BLUE MISSION 2050

CO2フリー電源の拡大

当社は約70年にも及ぶ再エネ開発の歴史を持ち、国内の出力規模では水力、風力共に第2位のシェアを誇る日本有数の再エネ事業者です。これまでの知見や技術を生かし、今後さらに陸上・洋上風力、小水力、地熱、太陽光などの再エネ開発を加速します。

また、現在建設中の大間原子力発電所は、安定的に大量の電力を生み出せるCO2フリー電源の1つです。大間原子力発電所計画では、日本全国の原子力発電所で排出される使用済燃料をリサイクルしたMOX燃料を使用できます。これは日本の原子力発電所の安定稼働によるCO2削減にも貢献するものです。地域の皆様にご理解・ご信頼をいただけるように、より丁寧な情報発信・双方向コミュニケーションに努めながら、CO2フリー電源の開発の一環として、安全を最優先に進めてまいります。

CO2フリー水素エネルギーと電源のゼロエミッション化

石炭をガス化して水素を製造し、さらにその際発生するCO2を分離・回収して有効利用または地中に貯留する(CCUS)ことで、CO2フリーの水素とすることを目指しています。当社では既に20年近くにわたって石炭から水素を製造する技術やCO2の分離・回収技術を開発しており、これらの技術は既に商用化の一歩手前の段階です。

現在、国内では大崎クールジェンプロジェクト、海外では豪州褐炭水素パイロット実証プロジェクトで実証試験を実施しています。大崎クールジェンプロジェクトでは、すでに石炭ガス化とCO2の分離回収技術は実証済であり、燃料電池を組み合わせた高効率なCO2フリー水素発電の実証試験準備を進めています。豪州褐炭水素パイロット実証プロジェクトでは、2021年2月に水素製造設備で99.999%という純度の高い水素の製造に成功しました

また、石炭に加えて大気中のCO2を吸収して育った木材でつくられたバイオマス燃料をガス化し、CCUSを利用すれば、CO2を排出しないだけでなく大気中のCO2を減らすネガティブエミッションとなります。固体のバイオマス燃料を用いたネガティブエミッションは、石炭が天然ガスと異なり固体であるからこそ、実現するメリットです。

今後さまざまな産業でカーボンニュートラルに向けて電化が進むと思われますが、製鉄や運輸など電化が困難な産業では燃料として水素が必要となることが想定されます。当社は、石炭によるCO2フリー水素発電だけではなく、CO2フリー水素製造と供給による事業領域の拡大の可能性も追求していきます。これにより、他産業のカーボンニュートラルにも貢献することが可能となります。

電力ネットワーク

今後風力や太陽光など気象条件により出力が急激に変動する再エネが増加すると、その出力変動をならして電力ネットワークを安定化させる調整力がますます重要になります。当社は、出力調整機能に優れた水力発電、とりわけ余剰電力の吸収も可能な揚水発電を保有しています。また石炭ガス化による水素発電も出力調整機能に優れています。これら自社電源の活用に加えて、需要家の保有する自家発電設備や空調設備などのリソースを活用した分散型エネルギーサービスに取り組むことによって、電力ネットワークの安定化に貢献し、日本の再エネ拡大を支えます。

再エネの立地は地域の気象条件に左右されます。風力発電は風況の良い北海道や東北、太陽光は日射量の多い西日本が適地となります。しかし現在の日本の電力ネットワークではその電気を大需要地まで運べる量に限界があるため、再エネを増やすためには電力ネットワークの増強が必要です。J-POWERグループは、全国に2,400kmの送電線、50Hzの東日本と60Hzの西日本の間で電力を融通する周波数変換所、エリア間を結ぶ海底送電ケーブルなどを有しています。これまで培った技術と経験を生かし、日本の再エネ拡大に必要となる電力ネットワークの増強に貢献します

  • 電力ネットワークの増強はJ-POWER送変電の取り組み

中期経営計画

2021年4月に発表した「中期経営計画」では、J-POWER“BLUE MISSION 2050”で示した方向性やCO2削減目標の達成に向けた第一歩として、重点的に取り組むべき4つのアクションを示しています。(中期経営計画におけるアクションについては、こちらをご参照ください)

アクション

GENESIS松島計画

中期経営計画で示したアクションの一部をご紹介します。

当社は2021年4月に、GENESIS松島計画の環境影響評価実施に向けた準備を開始しました。GENESIS松島計画は、運転開始後 40 年を迎えた長崎県の松島地点において、既設発電所に新たにガス化設備とガスタービンを付加するアップサイクルを行う事業です。このGENESIS松島計画は、大崎クールジェンプロジェクトを通じて実証した成果を初めて商用化するもので、将来的にはCCUSを組み合わせることにより、CO2フリー水素発電およびCO2フリー水素の製造・供給を実現するというゴールに向けた第一歩になります。また、バイオマスやアンモニアを混焼することにより、さらなるCO2削減の実現を目指します。

ガス化システム

経営目標と株主還元方針

中期経営計画では、2023年度の新たな目標として、連結経常利益900億円以上、連結自己資本比率30%以上を掲げています。英国のトライトン・ノールや米国のジャクソンなどの海外開発中プロジェクトの営業運転開始、定期点検の平準化や火力発電所の計画外停止の早期解消、安定稼働に注力しながら、修繕の効率化等のコストダウンに取り組むことで、この経営目標を達成してまいります。

株主還元については、当社は上場以来2017年度末に一度の増配を行いながら、安定的に配当を継続してきました。引き続き、短期的な利益変動要因を除いて、連結配当性向30%程度を目安に、利益水準、業績見通し、財務状況等を踏まえた上で、安定的かつ継続的な還元の充実に努めてまいります。

2021年8月 代表取締役社長 社長執行役員
渡部肇史

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