MOX燃料について

ウラン燃料とMOX燃料の比較

MOXの特性を考慮してMOX燃料棒を設計しています

MOX燃料は、ウランとプルトニウムを酸化物の形で混合した燃料で、ウラン燃料同様、陶器のように焼き固め安定した状態(燃料ペレット)で使用されます。この燃料ペレットを金属製のさやの中に収め、栓をしたものを燃料棒といい、MOX燃料棒にはMOX燃料ペレットが密封されており、ウラン燃料棒にはウラン燃料ペレットが密封されています。

MOXの性質はウランとは多少異なるので、その特性を十分考慮に入れてMOX燃料棒の設計を行っています。

MOX燃料の特性

ウラン燃料とMOX燃料を比較した場合、下記のような特性があります。

  • 特性(1)
    MOX燃料ペレットの融点、熱伝導率が若干低下します。
  • 特性(2)
    燃料ペレットからの核分裂生成ガスの放出率が高め。
  • 特性(3)
    新燃料からの放射線が強い。
  • 特性(4)
    核分裂生成物等の生成割合が若干異なる。

これらの特性を踏まえ、下記のような設計を行っています。

特性(1)
MOX燃料ペレットの融点、熱伝度率が若干低下します。
対応
融点、熱伝導率の低下は小さく、燃料温度の最大値は、融点に対して十分余裕があります。
ペレット融点
特性(2)
MOX燃料ペレットからの核分裂生成ガスの放出率が高め。
対応
このため、燃料棒の「ガス溜め」の体積を増やし圧力の上昇を抑制します。
→ MOX燃料棒では、「ガス溜め」の体積(プレナム部体積)をウラン燃料棒よりも増やしており、圧力の上昇が抑制されますので、燃料棒内圧の最大値はウラン燃料棒と同等です。
ガス溜め
特性(3)
新燃料の表面線量率が高い。
→ MOX燃料はウラン燃料と比べると、新燃料からの表面線量率が高い特性(右表:例)があります。
ウラン燃料 約0.03mSv/h
MOX燃料 約2.2mSv/h
(一例)
特性(4)
核分裂生成物等の生成割合が若干異なる。
→ 核分裂等により生成する核分裂生成物等の生成割合が若干異なることから、使用済MOX燃料は、使用済ウラン燃料に比べて発熱量が若干低下しにくいという特性があります。
対応
貯蔵プールは、使用済み燃料を冷却するため十分に余裕のある設計をしており、このような使用済MOX燃料の特性を考慮しても、使用済みウラン燃料と同様に冷却することができます。
<使用済燃料の貯蔵>

ウラン燃料とMOX燃料の燃焼

ウラン燃料は、最初はウランのみが燃焼(核分裂)しますが、時間の経過とともに、燃料中にプルトニウムが生成され、このプルトニウムが燃焼するようになります。最終的には発電で得られるエネルギーの約3分の1はプルトニウムによって得られます。一方、MOX燃料の場合には、最初から主としてプルトニウムが燃焼します。

したがって、原子炉内全体を見ると、ウラン炉心でもMOX炉心でもウランとプルトニウムが混在した状態で燃焼することに変わりはありません。

ウラン燃料とMOX燃料の組成比較

ウラン燃料は、天然ウラン中にわずかに含まれる核分裂しやすいウラン(ウラン235)を濃縮して用いますが、MOX燃料では、ウランの中に少量のプルトニウムを加えて用います。 MOX燃料は、ウラン燃料と同じように、ペレットに焼き固められ、被覆管内に密閉されて燃料棒となり、燃料集合体に組み立てられます。

燃料組成比較

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