燃料電池用石炭ガス製造技術開発パイロット試験設備の
運転開始について
平成14年2月22日
電源開発株式会社
当社が、若松総合事業所(北九州市)において、平成10年8月から建設を進めておりました燃料電池用石炭ガス製造技術開発(以下「EAGLE」:Coal Energy Application for Gas, Liquid and Electricity)パイロット試験設備は、機器据付及び機器単体他の試験を終え、本日22日よりガス化炉に燃料を投入し平成18年度まで約5年に亘るガス化試験運転を開始しました。

本試験は、経済産業省の直接補助事業、及び新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの受託事業として進められています。総事業費は約250億円です。


本試験は、石炭ガス化燃料電池複合発電(以下「IGFC」:Integrated Coal Gasification Fuel Cell Combined Cycle)の実現を最終目標として、
  1. 燃料電池に適用するに最適な酸素吹き石炭ガス化炉技術の確立
  2. 燃料電池に適用可能なレベルまで石炭ガス化ガスを精製する精製技術の確立
  3. IGFCトータルシステムの確立及びスケールアップデータの取得
を目的に、酸素吹き石炭ガス化設備(石炭処理量:150t/日、生成ガス量:14,600Nm3/時)、ガス精製設備、ガスタービン発電設備(8,000kW)を設置し、試験を行うものです。

なお、本試験設備には、燃料電池と蒸気タービンは設置されておらず、ガスタービンのみ当社の自主研究として設置し、本試験設備を構成する補機の動力として使用するとともに、石炭ガス用ガスタービン技術の習得を図ることとしています。

また、IGFCの実用化に必要な固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)の開発も別途並行して進めており、平成13年8月には世界で初めてとなる内部改質型(10kW級)での755時間の連続発電を若松総合事業所において達成し、効率41.5%(HHV:高位発熱量)を得ています。今後はモジュール構造の簡素化と更なる性能向上を進め、実用化に向けた100kW級システムの開発を推進して行く予定です。

石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)システムとは?
石炭ガス化設備、ガス精製設備、燃料電池発電設備、ガスタービン発電設備、蒸気タービン発電設備及び付属設備により構成され
  1. 石炭をガス化して得られる水素と一酸化炭素を燃料電池に供給して直接発電を行うと同時に、
  2. ガスタービンにも石炭ガスを供給して発電を行い、
  3. さらにそれらの廃熱を回収して蒸気タービン発電を行う
という世界で初めてとなる夢のトリプル複合発電であり、発電端発電効率約60%(現在の最新鋭石炭火力発電の発電端発電効率は約42%)を可能にする石炭火力発電における究極の高効率発電システムです。

既存の石炭火力発電に比べCO2排出量を約30%も低減できる技術として世界から注目を集めています。
以上
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