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平成12年度供給計画の概要 まえがき
わが国の電力需要は、長引く不況を背景とした産業用需要の落ち込みにより長期低迷を続けていますが、空調設備の普及増・情報化の進展などのアメニティ指向の高まりにより、利便性の高い電力へのシフト傾向は今後も続くものと予想され、電力需要は緩やかながらも安定した伸びが見込まれています。
一方、電力供給面においては、エネルギーセキュリティの確保や地球環境問題への取り組みなど長期的な視点に立ちつつ、小売分野の部分自由化、火力電源の全面競争入札の導入など諸情勢の変化に対応した、より一層のコスト低減による経済的かつ効率的な設備形成が求められています。
当社は、自由化をはじめとした電力事業を巡る環境の大きな変化の中、2003年の民営化に向けて財務体質と企業競争力の強化という経営課題への取り組みを続けていますが、開発事業の推進は引き続き当社事業の柱であり、今後ともわが国の電力供給の一翼を担う電気事業者の一員として、徹底したコストダウンを実現しつつ、原子力、火力、水力、送変電設備等の開発に取り組んで行きます。
また、民営化を見据え、廃棄物発電、風力発電等新エネルギー分野への取り組みも強化して行きます。
1.電源開発計画
(1)原子力
原子力は、準国産エネルギーであり、CO2等環境負荷が少なく環境保全の面に優れていることから、ベース供給力の主力として開発を推進する必要があります。特に、フルMOX−ABWRは、軽水炉によるMOX燃料利用計画の柔軟性を拡げるという政策的な位置付けを有した重要なプロジェクトと考えています。
現在、青森県大間地点において着工準備中の大間原子力(フルMOX−ABWR)は、14年3月着工(19年7月運
開)に向け強力に推進しています。
(2)火力
石炭火力は、石炭が世界中広範囲かつ豊富に賦存する資源であり、供給面の安定性や経済性に優れていることから、原子力に次ぐ重要なベース供給力として開発を推進します。
工事中の橘湾火力(1号機本年7月、2号機13年1月運開)、磯子火力新1号機(14年4月運開)は、運開に向けて鋭意工事を実施しています。
着工準備中の常陸那珂火力1号機(東京電力と共同立地、17年12月運開)は、本年7月の共有設備工事の着工に向けて着実な推進を図ります。また、磯子火力新2号機(18年7月運開)についても、今後の着工を目指して着実な推進を図ります。
なお、これら新鋭石炭火力には超々臨界圧発電技術を取り入れ、発電効率の向上を図ることによりCO2排出量を抑制し、地球環境負荷の低減に努めています。
また、石炭ガス化複合発電などの新発電技術の開発を推進するとともに、排出したCO2を回収・固定化する技術の実用化を目指して基礎的研究にも取り組んでいます。
(3)水力
一般水力は、CO2を排出しない再生可能な純国産の自然エネルギーであり、また、水資源の有効利用の観点からも、自然環境との調和と経済性の向上に努めながら開発を推進します。
工事中の奥只見・大鳥増設(15年6月運開)は、運開に向けて鋭意工事を実施しています。 揚水式水力は、負荷追従性に優れた信頼性のあるピーク供給力として、また、原子力・大容量火力の効率的運用と電力系統の安定化を図るため今後とも適正な開発が必要であり、計画地点の推進に努めます。
着工準備中の湯之谷揚水(初号機22年6月運開)などは、着工に向けて着実な推進を図ります。
(4)地熱
地熱発電は、一般水力と同様にCO2を排出しない再生可能な純国産の自然エネルギーであり、地球環境負荷が少ないという利点があることから、経済性の向上に努めながら開発を推進します。
着工準備中の小国地熱(14年4月運開)は着工に向けて着実な推進を図ります。
(5)新エネルギー
新エネルギーは、CO2排出量抑制等地球環境負荷の点から注目を集めている電源であり、我が国のエネルギーセキュリティ確保の点からも積極的に取り組む必要があると考えます。
廃棄物処理とダイオキシン対策の観点から導入が期待されるRDF発電事業については、14年度運開に向けて福岡県大牟田市で地元自治体等と共同で着手しており、今後の当社新事業の柱として積極的に推進しています。
一方、北海道苫前町において地元自治体等と共同で着手している風力発電事業は、本年12月の運転開始を目指し鋭意工事を実施しています。
また、将来の分散型電源として注目される燃料電池の研究・開発にも取り組んでいます。
第 1 表 電 源 開 発 計 画
区分 |
種別 |
発電所名 |
所在地 |
最大出力
(万kW) |
着手年月 |
着工年月 |
運開年月 |
工 事 中 |
水力 |
奥只見
(増設)
大 鳥
(増設)
徳 山 |
福島県
福島県
岐阜県 |
20
8.7
40 |
7−7
7−7
57−12 |
8−2
7−12
9−2 |
15−6
15−6
20年度 |
火力 |
橘湾火力1・2T
磯子火力新1T |
徳島県
神奈川県 |
105×2
60 |
5−12
8−7 |
8−11(1T)
9−3(2T)
10−4 |
12−71T)
13−1(2T)
14−4 |
着 工 準 備 中 |
水力 |
胆沢第一
湯之谷揚水
佐梨川 |
岩手県
新潟県
新潟県 |
1.77
180
0.44 |
3−7
9−7
9−7 |
15−4
14−3
14−3 |
18−4
22−6(1台)
23年度以降(3台)
22−6 |
火力 |
常陸那珂
火力1T
磯子火力
新2T
小国地熱 |
茨城県
神奈川県
熊本県 |
100
60
2 |
63−11
8−7
9−7 |
12−7
15−2
12−10 |
17−12
18−7
14−4 |
原子力 |
大間原子力 |
青森県 |
138.3 |
11−8 |
14−3 |
19−7 |
着 手 予 定 |
11
・
12
年
度 |
水力 |
新桂沢
相良 |
北海道
熊本県 |
1.68
1.65 |
13−3
13−7 |
19−5
14−7 |
22年度以降
21−3 |
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2.送変電設備計画
送変電設備の開発については、電力の安定供給のため、長期的かつ計画的に推進する必要があります。
工事中の阿南紀北直流幹線、阿南・紀北変換所(本年6月運開)は、運開に向けた連系試験を鋭意実施しています。
着工準備中の大間幹線は、環境保護に留意しながら、13年8月の着工(17年11月運開)を目指し着実な推進を図ります。
なお、50Hz−60Hz間を連系する佐久間東幹線(山線)については、将来の連系機能も考慮しつつ、都市化の進行など対策を要する地域の建替を進めています。
送変電設備計画は第4、5表のとおりです。
第4表 送 電 設 備 計 画
区分 |
送電線路名 |
区間 |
電圧(kV) |
こう長(km) |
着手年月 |
着工年月 |
運開年月 |
工 事 中 |
阿南紀北直流幹線 ※ |
阿南変換所
〜紀北変換所 |
(±500)
±250 |
架空線
50.9
ケーブル
48.9 |
7−8 |
7−11 |
12−6 |
着 工 準 備 中 |
大間幹線 |
大間原子力発電所
〜東北電力(株)
むつ幹線#1 |
(500)
275 |
60.0 |
− |
13−8 |
17−11 |
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(注)1.電圧欄の( )は設計電圧を示す。
2.※関西電力との共同開発
第5表 変電設備計画
区分 |
変電所名 |
増加出力(MW) |
着手年月 |
着工年月 |
運開年月 |
工 事 中 |
紀北変換所 ※1 |
1,400 |
7−8 |
7−11 |
12−6 |
阿南変換所 ※2 |
1,400 |
7−8 |
7−11 |
12−6 |
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(注)1.※1関西電力との共同開発 ※2四国電力との共同開発
3.設備工事費・資金調達計画
上記計画に基づく設備工事費は、2,250億円(対前年計画比10億円増、0.4%増)となり、内訳は発電設備1,811億円、送変電設備67億円、その他372億円となります。
所要資金については、自己資金に加え、財政投融資(政府保証債)1,200億円、政府保証外債380億円、民間借入金等810億円を調達することとしています。
設備工事費・資金調達計画は第6表のとおりです。
第6表 設備工事費・資金調達計画(単位:億円)
項 目 |
平成12年度 |
設備工事費 |
2,250 |
発電設備 |
1,811 |
送・変電設備 |
67 |
その他 |
372 |
資金調達 |
2,250 |
財政投融資(政府保証債) |
1,200 |
その他 |
1,190 |
政府保証外債 |
380 |
民間借入金等 |
810 |
内部留保等 |
1,261 |
債務償還 |
▲1,401 |
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