若松加圧流動床(PFBC)複合発電実証試験設備において「高度環境対応型で試験運転連続1,000時間達成」
平成11年10月21日
電源開発株式会社
当社が若松総合事業所(北九州市若松区)で実施している加圧流動床(PFBC:Pressurized Fluidized Bed Combustion)複合発電実証試験において、ボイラの一部を改造して環境性能の向上を目的とした高度環境対応型PFBCが10月18日に1,000時間の連続運転を達成しました。今回の連続運転の成功により高度環境対応型PFBC設備の長期信頼性に目処を得たことから実用化に向けて大きく前進できたといえます。なお、試験運転は12月末まで予定しており、引き続き高度環境対応型PFBCの特性把握を行うこととしています。

PFBC複合発電方式は、加圧状態のボイラ内で石炭と石灰石の混合体を流動化状態で燃焼させ、発生した熱は高い伝熱特性を持つ流動層内の伝熱管により回収され、蒸気タービン発電機を駆動するとともに、高温高圧のボイラ排ガスをセラミックチューブフィルター(CTF:Ceramic Tube Filter)で精密脱じんし、ガスタービン発電機を駆動するものです。

この方式では、従来の微粉炭燃焼発電方式より約1割程度の効率向上が図れます。また、環境対策面でも、ボイラ内に投入する石灰石で石炭燃焼により発生する硫黄酸化物(SOx)を除去することにより、排煙脱硫装置の設置が不要となるほか、燃焼温度が860℃程度と低いことから窒素酸化物(NOx)発生量の抑制、高効率燃焼による二酸化炭素(CO2)発生量の削減ができます。

さらに今回高度環境対応型PFBCとして、灰循環サイクロンと炉内アンモニア注入装置を追設し、脱硫効率及び 燃焼効率の更なる向上と、ボイラから排出されるNOx の排出量の低減を図っています。また、脱じんについても排 ガス中のダストをCTFで全量処理する方式としています。

実証評価試験は、通商産業省資源エネルギー庁の委託事業及び(財)石炭利用総合センターの補助事業として、当社が平成7年1月から平成12年3月までの間実施しているもので、平成9年までのPhase-1実証評価試験でPFBCのシステム、燃焼特性・環境特性の把握、高性能脱じん装置の大型化の検証を行い所期の成果を得ています。現在行っているPhase-2実証評価試験では、更なる燃焼特性・環境特性の向上、高度環境対応型PFBCの信頼性等の検証を目的に、平成10年8月から平成11年12月まで試験運転を行い、その後平成12年3月まで設備の解体研究による寿命評価を行うこととしています。
[設備概要]
出力 合計出力 7万1,000kW
(蒸気タービン5万6,200kW+ガスタービン1万4,800kW)
ボイラ 加圧流動床燃焼貫流型屋内式ボイラ
タービン 蒸気タービン 屋内用串型2車室2分流排気再熱再生復水式
ガスタービン 2軸式衝動型
環境対策設備 硫黄酸化物(SOx):流動床炉内脱硫
窒素酸化物(NOx):低温燃焼+乾式選択触媒還元式+無触媒炉内脱硝
ばいじん    :CTF
環境性能の目標値
  Phase-1 Phase-2
ボイラ出口SOx 30ppm以下 10ppm以下
ボイラ出口NOx 150ppm以下 100ppm以下
[開発スケジュール]
平成元年04月 設計開始
平成04年04月 据付工事
平成07年01月 Phase-1実証試験開始
平成09年12月 Phase-1実証試験終了
平成10年04月 Phase-2実証試験開始
平成12年03月 Phase-2実証試験終了
以上
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