沼原発電所ポンプ水車が国立科学博物館「未来技術遺産」に認定
〜「世界初、揚水能力500m超(528m)高落差大容量ポンプ水車」実現の技術史的価値を高く評価〜

平成21年10月06日
電源開発株式会社


 Jパワー(電源開発株式会社)が昭和44年に建設を開始し、現在も営業運転中の沼原発電所(栃木県那須塩原市)のポンプ水車が、「世界で初めて揚水能力が500mを超えた(528m)高落差大容量ポンプ水車」としてその技術史的価値が評価され、このたび独立行政法人国立科学博物館から「重要科学技術史資料」(愛称「未来技術遺産」、以下同)の認定を受けました。

 本日6日(火)午後、国立科学博物館日本館にて行われる授与式にて、登録証を授与されます。

  「未来技術遺産」とは、「科学技術の発達史上重要な成果を示し、次世代に継承していく上で重要な意義を持つ科学技術史資料」及び「国民生活、経済、社会、文化の在り方に顕著な影響を与えた科学技術史資料」の保存と活用を目的として、国立博物館が「未来へ引き継ぐべき遺産」として認定、登録を行うものです。平成20年9月の第1回登録では23点の資料が認定されています。


「未来技術遺産」に認定された
沼原発電所の高落差大容量ポンプ水車
 沼原発電所は急増しつつあった首都圏のピーク電力需要に対応すべく、昭和44年12月に着工、昭和48年6月に営業運転を開始した、合計出力67万5千kWの大容量純揚水式発電所です。

 下池となる那珂川上流の深山ダムと、その東側高台に建設した上池の沼原調整池の間の高低差は500メートル以上ありますが、当時存在した世界最高落差の単段ポンプ水車の揚水性能が約400メートル、技術的限界は450メートル程度とも言われており、経済性の高い単段ポンプ水車ではそれ以上の落差の揚水発電は実現不可能とされていました。

 しかしながら、創立以来水力発電所建設で蓄積してきた技術と経験に基づき、綿密な検討を行ったところ、実現可能である、との結論に至ったことから、揚水機器の製作に豊富な経験をもつメーカーとともに共同研究を開始しました。かつてない性能を実現するポンプ水車の設計や、高圧に耐える水圧鉄管鋼材の開発等、幾多の技術的課題を乗り越え、世界初の揚水性能500メートルを超える高落差大容量ポンプ水車の実現を果たしたものです。

 沼原発電所のこの技術的成功は、揚水発電の経済性をいっきに高めるとともに、開発可能地点の拡大ももたらし、わが国の揚水発電開発の歴史のなかで画期的な役割を果たしました。

 なお、沼原での「高落差大容量ポンプ水車の完成」に対して、大河内記念会および日本機械学会からそれぞれ昭和48年度の技術賞が、また「新豊根、沼原両揚水発電所の建設」に対して土木学会から昭和49年度の技術賞が授与されています。

 Jパワーでは、これまで50年以上にわたり、国内59箇所、合計出力856万500kWの水力発電所を建設・運転してまいりました。Jパワーでは、貴重な純国産資源であるとともに、CO2排出が少ないエネルギー源である水力発電の維持とさらなる価値向上を図るべく、これからも積極的に取り組んでまいります。



以上


【添付書類】



Page Top
CLOSE