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松浦火力発電所における木質系バイオマス燃料の実機混焼試験について
電源開発株式会社(社長:中垣喜彦<なかがき よしひこ>、以下「J−POWER」)は、5月31日より、木質系バイオマス燃料のボイラ混焼試験を、松浦火力発電所2号機(長崎県松浦市、出力100万キロワット)において開始いたします。
この試験は、(財)地球環境産業技術開発機構(以下RITE)が実施する京都議定書目標達成技術開発促進事業に参加し、同機構との共同研究として実施するものです。
J−POWERでは地球温暖化防止対策の一環として、石炭火力発電所におけるバイオマス資源の混焼技術開発を進めており、木質系バイオマス燃料については、平成13年度よりRITEと共同で小型試験装置を用いた基礎試験等により、基本的な特性把握および事前検討を実施してきました。
今回の実機混焼試験では、技術面における最終的な評価(燃焼効率、環境影響)を実施するとともに、経済性や木質系バイオマス燃料の効率的な収集・加工・運搬といった今後解決すべき課題を明確にすることを目的としています。また、実運用への移行可否については、本試験終了後改めて検討していきます。
尚、松浦市とJ−POWERとは、松浦市における新エネルギー事業の調査、開発を協力して推進することを目的に「新エネルギー事業等に関する基本協定」(平成14年11月1日付)を締結しており、バイオマス資源の混焼技術開発については、既にバイオソリッド燃料(乾燥下水汚泥燃料)の実機混焼試験を継続実施中です。
また、松浦市不老山総合公園においては風力発電の可能性調査も実施中であり、今後とも新エネルギー活用の可能性について、共同で検討を進めていく予定です。
○木質系バイオマス燃料実機混焼試験の概要について
(1)試験実施箇所 |
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松浦火力発電所 2号機※ |
(2)試験内容 |
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1.試験期間: |
平成16年5月31日〜平成16年11月末目途(実混焼日数:延べ15日間程度) |
2.試験概要: |
・step1 |
1台のミル(微粉炭機)系統を用いて、当該ミルへの石炭導入量に対し木質系バイオマスを2%(発熱量比)程度まで徐々に混合し、機器の稼動状況を確認。 |
・step2 |
全て(6台)のミル系統を使用してボイラーへの総石炭導入量に対し平均0.5%(発熱量比)での混焼試験を実施。 |
* 両stepで総量約200トンの木質系バイオマス燃料を混焼。両stepとも、燃焼特性、環境特性及び機器の健全性の把握を行い、混焼による影響のないことを確認いたします。 |
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3.混焼方法: |
石炭を貯炭場からバンカへ送炭する途中で、木質系バイオマス燃料を仮設設備(試験終了後撤去)を用いて石炭と混ぜ、混合燃料とした上で微粉炭機にて粉砕、既存バーナにて燃焼させます。(別紙 系統図参照) |
4.試験に使用する木質系バイオマス燃料: |
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本試験では、長崎県内の産業廃棄物処分業者が伐採木などを中間処理<再資源化>により40〜50mm程度にチップ加工したものを購入・使用します。この木質系バイオマス燃料は、小型試験装置を用いた基礎試験により、石炭火力発電所の混焼用燃料として適用可能との評価が得られています。 |
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※参考 松浦火力発電所の概要 |
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出力 |
運転開始 |
年間石炭消費量 |
1号機 |
100万キロワット |
平成2年6月 |
約225万トン |
2号機 |
100万キロワット |
平成9年7月 |
約220万トン |
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所在地:長崎県松浦市志佐町白浜免字瀬崎458-1 |
○石炭火力発電所におけるバイオマス燃料の混焼意義
石炭は経済性、供給安定性に優れたエネルギーセキュリティ上不可欠な資源ですが、CO2排出原単位が比較的大きく、石炭火力発電所におけるCO2排出量削減は地球温暖化防止対策として望まれているところです。
このCO2削減のための方策として、動植物に由来するバイオマス資源の利用があります。
バイオマス資源は、再生可能な新エネルギーとして位置付けられており、CO2排出量削減に有効なことから、国をはじめ各方面においてその利用方法、並びに普及促進の検討が進められています。
また一方で木質系バイオマスは、正確な発生量は把握されていないものの、全国で年間7,000万立方メートルに達すると言われており、その内の未利用分(廃棄物として焼却されたり、林地に放置されているもの)は60%以上とされ、これらの有効利用は大きな課題となっています。
よって、木質系バイオマスを石炭火力発電所向け化石代替燃料として利用することは、石炭火力発電所のCO2排出量削減にとって有意義であり、且つ循環型社会や地球環境保全に貢献することと考えています。
多くの石炭火力発電所を保有するJ−POWERとしても、化石燃料利用から生じるCO2排出量削減のための技術開発には積極的に取組んでおり、今回の混焼試験はその一環となります。
添付書類 |
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連絡先: |
電源開発株式会社 総務部広報室 吉永・升井 電話:03-3546-2211
電源開発株式会社 松浦火力発電所 小松・高橋 電話:0956-72-1201 |
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