スリランカ国アッパーコトマレ水力発電計画に関する
コンサルタント業務の受注について
平成15年11月25日
電源開発株式会社
当社は今般、スリランカ政府(セイロン電力庁)より、スリランカ国アッパーコトマレ水力発電計画の施工監理等に関するコンサルタント業務を受注しました。

当社が行う業務は、スリランカ政府(セイロン電力庁)の要請に応えて、本計画における入札支援及び施工監理業務を行うものであります。

本業務は、本年11月より開始し2009年10月まで約6年間にわたって実施する予定です。
本業務の契約金額は、約27億円となり、当社の海外コンサルタント業務において、過去最大の契約額となります。
(1)本業務実施の背景
  1. スリランカ国の逼迫する電力事情
    スリランカ共和国は石炭・石油・天然ガス等の燃料資源に恵まれず、エネルギー源としてのこれら燃料は輸入に頼らざるを得ない状況にあります。一方、同国は経済的に有利な水力開発地点に恵まれているため、従来からスリランカ政府は積極的な水力開発を実施し、安価なエネルギーを国民生活や国内産業に供給してきました。

    しかし、同国においては、近年、経済の拡大、発展に伴い至近5ケ年で平均10%と急激に電力需要が増加し電力需給は非常に逼迫した状態が続いています。2001年、2002年には連続して電力の供給制限が実施され、今後年率7%の電力需要の増加が見込まれる中、新規電源の確保が急務とされています。2003年に発表された長期電源開発計画(Long Term Generation Expansion Plan(2003-2017))によると、15年間で322万8千kWの電源を新設する計画となっており、水力発電所としては2003年にククレ水力発電計画(7万kW:9月に運転開始済)、2009年に本アッパーコトマレ水力発電計画(15万kW)が重要開発電源として計上されています。

    当面の厳しい電力需給に対応するべく短期的には高価なデイーゼルやガスタービン等の緊急電源に頼らざるをえない中、貴重な自国資源を活用した本水力発電計画への期待は非常に大きなものがあります。
  2. 日本のODAとの関係
    スリランカ国は昭和26年のサンフランシスコ講和会議において日本分割論に反対してこれを退けた歴史的背景もあり、日本のODA政策における重点国の一つとなっており、円借款の年次供与国として緊密な2国間協力関係を築いてきています。特に、近年は、同国の北部独立分離派との和平交渉において、日本国政府が同国に対する最大の援助国としてイニシアティブを発揮し、2003年6月にはスリランカ復興に関する東京会議を開催する等、積極的な援助政策を展開中です。

    本計画についても日本政府は案件の初期段階から関与しており、その歴史は、1985年から1987年にかけて国際協力事業団(現、国際協力機構:JICA)により実施されたフィージビリティスタデイに始まる。フィージビリティスタディに引続き、当時の海外経済協力基金(現、国際協力銀行:JBIC)の借款(E/Sローン)により、1993年から1995年にかけて実施設計、環境影響評価が行なわれた。その後、同国での環境審査、開発許可手続きが進められていたが、2000年3月に政府の建設の許可がおりたことを受け、国際協力銀行は、2001年3月、本計画に関する案件形成促進調査(SAPROF、当社が受託して実施)により設計、開発計画、社会環境影響評価のレビューを実施。案件の妥当性を再確認した上で、2002年3月、総額約332億円を限度とする特別円借款の融資契約をスリランカ国政府と調印した。
  3. 入札経緯
    2002年7月、スリランカ政府(セイロン電力庁=CEB)は、コンサルタントの入札を実施し、当社を含む3社に対して入札招聘を行いました。当社は、E/S借款による実施設計、更に2001年の追加調査に参画し、本計画とは10年に亘り深く関わってきており、同計画に対する豊富な知識とこれまでに実施してきた業務に対する高い評価と信頼感、そして水力分野における卓越した技術力が評価され、CEBより第1位指名を受け、契約交渉の結果、受注の運びとなったものです。
(2)本計画の概要
  1. 本計画は、都市コロンボの東、約100kmのヌアラエリヤ地区に位置する。同地域は、同国最大の紅茶の産地であるとともに、美しい景観から同国有数の観光地でもあります。本計画はコトマレ川上流部に高さ約35mのコンクリート重力式ダムを築造して、日間調整能力を有するTalawakelle調整池を設置し、更に6つの支流から取水して延長12kmの導水路トンネル及び水圧管路により地下発電所に導き、最大出力15万kWの発電を行なう「ダム水路式発電計画」です。年間の発電電力量5億2800万kWhは、同国の逼迫した電力需給を緩和するとともに、貴重な自国水力資源の活用、更にはピーク対応電源として割高なディーゼル、ガスタービン発電を代替することで、高い経済効果を産むものと期待されています。
計画緒元
(3)契約の概要
  1. 契約相手方 スリランカ共和国セイロン電力庁(CEB)
  2. 契約業務の内容及び期間(予定)
    1. 詳細設計見直し(2003年11月〜2004年2月)3ヶ月
    2. 入札支援他  (2004年3 月〜2005年2月)11ヶ月
    3. 施工監理   (2005年3月〜2009年10月)56ヶ月
  3. 契約締結日、実施期間
    • 2003年11月5日契約調印
    • 2003年11月〜2009年10月(約6年間)
  4. 契約金額  約27億円
  5. 所要人月  580.5人月(ローカルコンサルタント分を除く)
    • ピーク時において10名程度の技師が現地に駐在することとなります。
  6. 業務の特徴
    • 需給が逼迫する中で、非常にタイトな工程に基づく緊急開発
    • CEBの分割を含む電力セクター改革が進む中で、IPP等の他の電源とのコスト優位性を保ちます。
    • このため当社のプロジェクトマネージメント手法を導入し、工程管理、コスト管理、品質管理に万全を期すとともに、プロジェクトマネージメント手法等の技術移転を図ります。
    • 本計画地域が多くの滝を有する景勝地であることから、環境に対する最大限の配慮と対策を行います。
(4)当社における本計画の位置付け、今後のコンサルティング事業の展開
  1. 本件受注により当社の海外コンサルティング業務実績は59ケ国220件に。
  2. 過去最大の契約額 (これまでの最大はトルコ国アルティンカヤ水力発電計画の24.6億円、次はペルー国ユンカン水力発電計画の24.2億円)
  3. スリランカ国では5件目。他4件は、CEBから受注した中圧配電網整備計画、JBICより受注したアッパーコトマレ水力のSAPROFとスリランカ電力事情調査、JICAより受注した水力発電最適化計画調査です。
  4. 当社は過去40年にわたる海外でのコンサルティング事業を通じて培った経験とネットワークを活かし、電力需要の高い成長が見込めるアジアを中心に、発電事業(IPP)に注力していますが、今後とも、コンサルティング/IPPの両海外事業の特質をうまく活用しながら、環境ビジネス等の他の海外事業とも連携を深め、「エネルギーと環境」をキーワードに更に強力に海外展開を押し進める方針です。
以上
添付書類
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