2024年
プレスリリース
日本の地形に適した着床式洋上風車基礎「フレキシブル・トリパイル」を考案しました
~免震効果を有する基礎構造に関する特許を取得~
2024年10月15日
電源開発株式会社
電源開発株式会社(以下「Jパワー」、本社:東京都中央区、代表取締役社長 社長執行役員:菅野 等)は、国立大学法人東京大学(総長:藤井 輝夫)と共同で、日本の地形に適した新たな着床式洋上風車基礎「フレキシブル・トリパイル」を考案し、特許を取得しました。
(特許第7465509号:「洋上風力発電設備の基礎構造」)
大規模導入が進められている着床式洋上風車には、欧州で実績のあるモノパイル基礎が多く用いられています。一方、日本海域で多く見られる地盤のように、比較的硬質な岩盤が浅く分布する場合には、効率良く岩盤を削孔することが困難なことからモノパイル基礎が適用できず、従来技術を採用する必要があり、そのため建設コストに課題がありました。
本技術は、基礎の底版部に角鋼管や鋼板を用いて比較的変形しやすく柔らかい構造とすることで地盤からの免震効果を得られるため、岩盤が浅く分布する地点における施工性が良く、なおかつ地震による振動を低減するものです。また、従来技術に比べ、基礎に使用する部材を簡素化出来るため、建設コストを低く抑えることが可能です。
基礎構造の比較
本技術を適用した基礎の概要、事業性及び本技術に関する取り組みの状況は以下の通りです。
【本技術を適用した基礎構造の概要】
3本の杭と鋼管主管の組杭構造について、杭と鋼管主管の接続には、考案した角鋼管と鋼板構造及びワイヤロープを用います。
【本技術を適用した基礎の事業性】
基礎中心の鋼管主管は風車タワーと接続する構造になっており、一体化した鋼管部が長いことで風車全体がゆっくりと揺れるため(長周期化)、地震動の影響を受け風車タワーの揺れが増幅する現象(共振)の発生を軽減することが出来ます。加えて、考案した免震効果により地震による振動を低減できます。従い、当社の試算では従来技術に比べて基礎に使用する部材の簡素化が可能なことから、大幅なコストダウンが見込まれます。さらに、本技術は今後の大型化した風車に対しても適用しやすいと想定しています。
【本技術に関する取り組み】
東京大学と共同研究を実施しています。その中で、解析により技術の有効性を確認する他、模型実験においても従来型の基礎構造よりも地震による振動を低減できることを確認しています。
フレキシブル・トリパイル
Jパワーグループは、2021年2月にJ-POWER "BLUE MISSION 2050"で掲げたカーボンニュートラルの実現に向け、洋上風力に関わる更なる技術開発が必要と考えています。今後も、実海域での「フレキシブル・トリパイル」の実用化に向けて、鋭意研究を進めていきます。
以上