新規制基準への当社の対応状況
主な対策
- 1.原子炉冷却材圧力バウンダリ※高圧時の冷却手段
- 2.原子炉冷却材圧力バウンダリ低圧時の冷却手段
- 3.格納容器内の冷却等のための手段
- 4.使用済燃料貯蔵プールの冷却等のための手段
- 5.電源喪失時の代替電源の確保
- 6.重大事故等の収束に必要な水源の確保
- 6.格納容器の過圧破損防止のための手段
- 8.特定重大事故等対処施設
主な設計基準事故対策
1.地震(基準地震動)
大間地点周辺の過去の地震や活断層について最新知見や調査結果を踏まえ、基準地震動 650ガル※(従来450ガル)を策定し、耐震設計を行います。
※ガル:地震による振動を表す加速度の単位(1ガル = 0.01 m/s² )
検討用地震
地震発生様式ごとに検討用地震を下記のとおり選定




2.津波(耐津波構造)
2011年東北地方太平洋沖地震津波の最新知見(連動、すべり)等を踏まえ、基準津波を策定し、耐津波設計を行います。
- 2011年東北地方太平洋沖地震津波等の最新の知見を踏まえ、波源モデルを設定
- 日本海東縁部、三陸沖から根室沖、チリ沖及び海域活断層の波源として、既往の検討規模以上の地震を想定
- 非地震(陸上の斜面崩壊・海底地すべり・火山現象に伴う山体崩壊)に起因する津波も考慮



- 敷地高さはT.P.+12mであり、基準津波による敷地の最高水位(T.P.+6.3m)よりも高いため、基準津波が地上部から到達、流入するおそれはない
- 基準津波を超える津波に対しても、更なる信頼性向上の観点から対策を実施
- 海水ポンプは堅固且つ水密性の高いタービン建屋内に設置
- 基準津波による水位低下時(T.P.-4.1m)に、取水口前面の敷高を若干下回るが、取水路等に貯留された海水(約6,600m3)により、必要な原子炉補機冷却海水系の取水量を十分に確保

3.火山
発電所に影響を及ぼし得る火山を抽出し、評価しています。
- 発電所より160km内の火山において、将来の活動可能性が否定できない35の火山(陸奥燧岳〔むつひうちだけ〕、恐山〔おそれざん〕、恵山〔えさん〕等)を抽出

- 火山活動に関する個別評価
過去に、設計対応不可能な火山事象(火砕物密度流等)は、敷地に達していない
敷地との位置関係等から、将来に設計対応不可能な火山事象が到達する可能性は十分小さい
火山活動のモニタリング不要と判断
- 安全上重要な施設に対して、降下火砕物(火山灰)による堆積荷重、閉塞、積雪荷重との重畳等の影響評価を実施し、安全機能が損なわれないことを確認
4.火災防護対策
原子炉施設の安全性が脅かされることがないようにするため、火災の発生防止、火災の感知及び消火、火災の影響軽減のそれぞれを考慮した火災防護対策を実施します。

5.内部溢水対策
原子炉施設内に設置された機器及び配管の破損、消火系統等の作動又は使用済燃料プールのスロッシング※により発生する溢水を想定しています。
溢水が生じた場合に、防護対象設備の機能が失われず、かつ、放射性物質で汚染された液体が管理区域外に漏えいしないよう防護措置を実施します。
- [主な防護対策]
- 溢水経路(扉、貫通部等)に対する止水対策
耐震B・Cクラス設備の耐震強化
漏えい検知による循環水管からの溢水量低減対策
※スロッシング:液体を入れた容器が振動した際、液体の表面がうねる現象

主な重大事故対策
1.原子炉冷却材圧力バウンダリ※高圧時の冷却手段
原子炉冷却材圧力バウンダリが高圧の状態であって、全交流動力電源喪失・常設直流電源系統喪失により設計基準事故対処設備の機能(原子炉の冷却:高圧炉心注水系(2系統)、原子炉隔離時冷却系(1系統))が喪失した場合においても炉心の著しい損傷を防止できるよう、原子炉への高圧注水を行うために以下の設備を設置します。
- 原子炉隔離時冷却系
直流電源系の強化、現場手動操作による運転 - 高圧炉心注水系
空冷式ディーゼル発電機からも給電可能とした高圧炉心注水ポンプにより高圧注水 - 代替高圧注水系(常設)
空冷式ディーゼル発電機から給電する代替高圧注水ポンプにより高圧注水
※原子炉冷却材圧力バウンダリ:原子炉圧力容器内と同様の圧力条件となり、かつ原子炉冷却系の圧力障壁を形成するもの。(原子炉圧力容器や原子炉冷却系配管・弁など)

2.原子炉冷却材圧力バウンダリ低圧時の冷却手段
原子炉冷却材圧力バウンダリが低圧の状態であって、設計基準事故対処設備の機能(原子炉の冷却:低圧注水系(3系統))が喪失した場合においても炉心の著しい損傷及び格納容器の破損を防止するため、以下の設備を設置します。
- 代替高圧注水系(常設)
空冷式ディーゼル発電機から給電する代替高圧注水ポンプにより注水 - 代替低圧注水系(常設)
空冷式ディーゼル発電機からも給電可能とした復水移送ポンプにより注水 - 代替低圧注水系(可搬型)
可搬型の代替注水設備(可搬型大容量ポンプ、ホース等の配備)により注水 - 後備低圧注水系〈低圧注水モード〉(特定重大事故等対処施設)
ガスタービン発電機からも給電する後備低圧注水ポンプにより注水

3.格納容器内の冷却等のための手段
設計基準事故対処設備の機能(格納容器内の冷却:原子炉格納容器スプレイ冷却系(2系統))が喪失した場合における炉心の著しい損傷防止、及び炉心の著しい損傷が発生した場合における格納容器の破損を防止するため、以下の設備を設置します。
- 代替原子炉格納容器スプレイ冷却系(常設)
空冷式ディーゼル発電機からも給電可能とした復水移送ポンプによりスプレイ - 代替原子炉格納容器スプレイ冷却系(可搬型)
可搬型のスプレイ設備(可搬型大容量ポンプ、ホース等の配備)によりスプレイ - 後備低圧注水系〈原子炉格納容器スプレイモード〉(特定重大事故等対処施設)
ガスタービン発電機からも給電する後備低圧注水ポンプによりスプレイ

4.使用済燃料貯蔵プールの冷却等のための手段
サイフォン現象※等による燃料プール水の流出を抑制するため、サイフォンブレイク配管(①)を設置します。また、設計基準事故対処設備の機能(燃料貯蔵プールの冷却:燃料プール冷却浄化系(2系統)、残留熱除去系(3系統))が喪失した場合において、使用済燃料貯蔵プールの冷却・遮蔽機能の維持、臨界の防止を行うための手段として、以下の設備を設置します。
- 燃料プールスプレイ系(常設)
空冷式ディーゼル発電機からも給電可能とした復水移送ポンプによりスプレイ - 燃料プールスプレイ系(可搬型)
可搬型のスプレイ設備(可搬型大容量ポンプ、ホース等の配備)によりスプレイ - 後備低圧注水系〈燃料プールスプレイ機能〉(特定重大事故等対処施設)
ガスタービン発電機からも給電する後備低圧注水ポンプによりスプレイ - 燃料プール監視設備
燃料プールの水位、水温、空間線量率を監視
燃料プールの状態をカメラで監視
※サイフォン現象:液体が管を通じて、ある地点から、その地点より高い場所を通過し、流れ続ける現象。

5.電源喪失時の代替電源の確保
設計基準事故対処設備(非常用ディーゼル発電機(3系統))に対し、独立性を有し、位置的分散を図った電源設備を設置します。
代替電源設備(常設)
- 交流電源設備として、空冷式ディーゼル発電機及びガスタービン発電機(特定重大事故等対処施設)を設置
- 直流電源設備として、非常用区分Ⅰ蓄電池を大容量化し、8時間容量を24時間に増強、さらに、24時間の容量の蓄電池を設置、また、特定重大事故等対処施設に蓄電池を設置
代替電源設備(可搬型)
- 交流電源車、直流電源車を高台に配備
6.重大事故等の収束に必要な水源の確保
設計基準事故の収束に必要な水源とは別に、重大事故等の収束に必要となる量の水源確保と用水供給のため、以下の設備を設置します。
淡水源として貯水槽を設置また、海水を水源として利用可能

7.格納容器の過圧破損防止のための手段
炉心の著しい損傷が発生した場合においても格納容器の破損を防止できるよう、格納容器内の圧力及び温度を低下させるため、以下の設備を設置します。
- 第一原子炉格納容器フィルタベント系
格納容器内の蒸気や非凝縮性ガス等を外部に放出し、格納容器を減圧・除熱
格納容器内のガスを放出する際、排気中に含まれる放射性物質を低減 - 第二原子炉格納容器フィルタベント系(特定重大事故等対処施設)
上記と同様の機能・性能を有するフィルタベント系を地下に設置

8.特定重大事故等対処施設
原子炉建屋への故意による大型航空機の衝突その他のテロリズム等を起因とする重大事故等に対処するため、特定重大事故等対処施設を設置します。
- 原子炉の減圧操作機能(後備高圧窒素ガス供給系)
- 格納容器内の冷却・減圧・放射性物質低減機能(後備低圧注水系)
- 格納容器の過圧及び水素爆発による破損防止機能(第二原子炉格納容器フィルタベント系)
- サポート機能(ガスタービン発電機、計装設備、通信連絡設備等)、緊急時制御室
