サステナビリティ

社会(S)

活動内容

岩手県 船渡市・大槌町 北海道・東北 地域共生活動等

被災地でコンポスト活動の広がり

入居者全員で飾り付けをしたツリーの前で。
左から及川さん、金野さん、古澤さん、大和田さん、八百屋さん
仮設住宅の玄関先で、コンポストの状態をチェックする八百屋さん(写真左)

J-POWERグループらしい支援活動

ジェイペック若松環境研究所の高倉業務推進役が考案した「高倉式コンポスト技術(以下:コンポスト)」は、家庭で出る生ごみを分解し堆肥にしてしまうことで、国内外で高い評価を受けています。

昨年3月11日に起こった東日本大震災で被災した人々を支援するため、J-POWERグループではさまざまな活動を行ってきました。そして「「地域共生」の考え方をベースとした、J-POWERグループらしい支援活動を進めたい」という思いから、社会貢献活動の一環として、J-POWER広報室はジェイペック環境事業部及び若松環境研究所の協力を得て、岩手県遠野市を拠点に活動する環境系NPO法人「遠野エコネット」と協働で、コンポストを活用した支援活動を進めています。

コンポストを通したコミュニティー形成

仮設住宅には、住み慣れた自宅から離れることを余儀なくされた方が身を寄せています。それまでの近所付き合いなどといったコミュニティーが崩れてしまい、仮設住宅の生活になじめず引きこもってしまったり、治安が悪化する可能性もあるということで、入居者間でのコミュニティー形成が重要視されています。

そのため、コンポストの取り組みを入居者共通の話題にしてもらうことで、コミュニケーションを密にしてもらう、「人と人をつなげるツール」として広めていく、というのがこの活動の狙いです。

現在は岩手県の大船渡市と大槌町の2カ所の仮設住宅で活動を行っているということで、実際に2011年9月から現地で活動を続けている、若松環境研究所の八百屋さんに同行して、活動の様子を見せていただきました。

仮設住宅での暮らしが変わった

子を自慢する親のように、八百屋さんのところへコンポストを持ち寄る

取材に訪れたのは2011年12月。大船渡市の仮設住宅には、クリスマス間近ということで、山から切り出してきた木が敷地内に置かれ、色とりどりの飾り付けがされていました。「こんにちは」と声を掛けながら八百屋さんが駐車場にいた女性に近付くと、「久しぶりですね。お元気でしたか」というあいさつもそこそこに、「早速うちの(コンポストの)様子を見てください」と、八百屋さんを自分のコンポスト容器が置いてある自宅の玄関先へと連れて行きます。

容器のふたを開けると、見た目には普通の茶色の土が現れました。「これがわが家のコンポストです。毎日家から出る生ごみを入れているんですよ」と話すのは、先ほど八百屋さんを連れてきた大和田さん。八百屋さんはコンポストの中に手を入れ、「中は(ごみが分解される時の熱で)温かいし、目立つ大きさのごみもないですね。きちんとお世話をしている証拠です」と太鼓判を押していました。

「仮設住宅に移動した時は夏場で、生ごみの処理に困っていましたが、高倉さんや八百屋さんにコンポストを教わり、生ごみの処理に悩まされることはほとんどなくなりました」と、こちらはこの仮設住宅全体をまとめている及川さんの話で、コンポスト技術は確実に根付いているようでした。

しばらくすると、3人の会話が聞こえたのか、他の家からも「コンポストの親」たちが八百屋さんの元へ集まります。八百屋さんはそれぞれのコンポストを丁寧に確認しながら、どうしたらもっと良くなるか、アドバイスをしていました。

「ここでコンポストに取り組んでいる皆さんはとても熱心で頭が下がります」と話す八百屋さん。コンポストの話題に花を咲かせる皆さんを見守る目に、とても温かいものを感じました。

取材を終えて

そして何よりも驚いたのが、仮設住宅に住む皆さんの笑顔です。東日本大震災という想像を超える困難を体験したにもかかわらず、コンポストのことについて話す皆さんは本当に楽しそう。その笑顔を見て、コンポストを「人と人をつなげるツール」にしたいというJ-POWERグループの思いは届いているのだな、と実感しました。

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