骨材製造時に発生する微粉末の有効利用技術の開発
—ダムコンクリートへの利用により環境問題に貢献—
平成15年2月7日
清水建設株式会社
電源開発株式会社
清水建設(株)<社長 野村哲也>と電源開発(株)<社長 中垣喜彦>は、ダム施工用の骨材製造に伴って発生する微粉末をダムコンクリートへ適用するための、配合設計方法を室内実験にて確立、この程実機プラントでのコンクリート製造実験を行い、実用可能であることを確認しました。

従来、ダムの施工現場での骨材製造時に発生する多量の微粉末は、通常、産業廃棄物として処理していますが、環境問題や経済性からその有効利用が急務となっていました。

両社は、ダム用骨材製造時に発生した微粉末を、ダム用内部コンクリートに適用することを目的として、長瀧重義東京工業大学名誉教授の指導のもと、その微粉末を細骨材の一部と置き換えしたコンクリートの配合設計方法を、室内実験にて検討してきました。その結果、細骨材率を変化させることあるいは高性能な混和剤を使用することにより、配合設計方法を確立することができました。
微粉末は骨材の製造設備の種類により、粒度などの物理的性質が異なります。湿式の骨材製造設備を使用した場合はコンクリート1m3当たり微粉末量200kgまで、乾式の骨材製造設備を使用した場合は、170kgまで使用が可能であることを確認しました。

また、コンクリートの打設作業のしやすさを評価するために、動的な評価方法を提案しました。これは、微粉末を混入したコンクリートは粘性が高いため、一般的にスランプで評価・管理されているダム用コンクリートが、動的な評価方法であるモルタル上昇試験や振動台式コンシステンシー試験等を用いた方が、打設作業のしやすさの評価・管理の面でよいこと、が判明したことによります。
以上の結果を踏まえ、実機プラントを用いて約20m3の微粉末混入コンクリートを練り混ぜ、所定のフレッシュ性状と所定の強度を確保できることを実証しました。

尚、清水建設株式会社と電源開発株式会社は、現在本件に関して共同特許を出願中である。

<メリット>
  1. 廃棄物の削減、リサイクルの推進といった、環境問題への貢献を図ることができます。
  2. 微粉末の施工現場内再利用が可能となることにより、施工現場での岩石の採取量を最小限とすることができます。
  3. 産業廃棄物としての廃棄費用分がコストダウンとなります。
    例:コンクリートの堤体積が、50万m3の場合、約4億円のコストダウン
今後は、この微粉末を、ダム内部コンクリートだけでなく外部コンクリートへの適用の可能性もあることから、適用範囲の拡大も検討して行く予定です。

ダムコンクリートの構成比率と微粉末の有効利用(7.74kb)
お問い合わせ先
清水建設(株):広報部
TEL 03-5441-1111(代)
〒105-8007 港区芝浦一丁目2番3号 シーバンスS館

電源開発(株):総務部広報室
TEL 03-3546-2211(代)
〒104-8165 中央区銀座6丁目15番1号
以上
Page Top
CLOSE