当社定時総会における株主提案に対する当社取締役会の考え方について

平成19年5月11日

電源開発株式会社
               

                


 当社は、当社の株主であるザ チルドレンズ インベストメント マスター ファンド(以下「TCI」といいます。)から、平成19年3月9日付の書面にて、当社の平成19年3月期にかかる期末配当金を1株当たり100円(中間配当金と合わせた年間配当額は130円)とすることを当社の本年定時株主総会(以下「定時株主総会」といいます。)の議案とするよう請求する株主提案(以下、「TCI提案」といいます。)を受けました。


 このたび、定時株主総会の基準日である平成19年3月31日における、会社法に基づくTCIの株主提案権の行使に関する資格を確認し、また、当社取締役会は、本日、定時株主総会に対して、平成19年3月期にかかる期末配当金を1株当たり30円(中間配当金と合わせた年間配当額は60円)とすることを提案する旨を決議し、これを「平成19年3月期 決算短信」において公表いたしましたので、当社取締役会としてTCI提案に正式に反対する旨の意見とその理由をここにお知らせいたします。


 当社の事業につきましては、発電所等の建設を含む長期間にわたる事業運営能力を源泉に、発電所等のインフラ施設に投資し、長期間の操業を通じて投資回収を図ることが最大の特徴となっております。

 このような当社ビジネスの特徴を踏まえ、株主の皆様への還元につきましては、安定した配当の継続を最も重視しております。当社は、平成13年度から5年間かけて企業革新計画を実行し、設備保全費用、人件費、財務費用などのコスト削減に取り組み、これによって、平成13年度に440億円であった連結経常利益は平成18年度には約26%増加して555億円となりました。こうした企業努力による収益力の強化を株主の皆様に適切に還元する方針のもと、当社株式上場前に約40億円であった年間配当総額を、平成15年12月の増資を経て、平成17年3月期には約80億円に増額し、さらに平成18年3月に実施した株式分割による1.2倍の実質増配により約100億円に増額しております


 このように順調な実績を上げてまいりましたが、地球温暖化問題への対応、発電設備等の経年劣化の進行や国内電力需要の成長鈍化など今後の業績を圧迫する要因も顕在化しつつあり、そうした中で持続的な成長を実現し、当社の企業価値および株主の皆様共同の利益の最大化を図っていくためには、競争基盤の拡充をさらに進める必要があります。当社は、様々な経営課題を一方では新たな成長につなげる好機であると受け止め、それを踏まえ、今後5〜6年にわたり、大間原子力発電所計画や磯子火力発電所新2号機計画をはじめとする発電設備規模の増強に約4,000億円、主要機器一括更新などによる事業資産の価値向上に約2,500億円、当社の世界最高水準の環境対策技術をはじめとする競争優位性を活かしたグローバルな事業展開に約1,200億円と、それぞれ当社のポテンシャルを活用できる分野へ設備投資を行う等の重点的資源配分を実施し、将来にわたって安定的な収益源となるよう、着実な操業や事業管理に努めてまいる所存であります。


 このように持続的成長を支えるための設備形成期を迎えるにあたっては、今後、多額の資金が必要になります。キャッシュ・フローを事業基盤の拡充へ優先的に割り当ててまいりますが、同時に、今後とも事業の収益性を確保していくためには、少なくとも業界水準との比較において遜色のない財務体質を追求構築していくことで、コスト競争力のある資金調達条件を維持改善していくことが必要です。さらに、規制緩和の進展と当社事業の国内外における拡大と多様化などを勘案すれば、会社としてのリスク耐久力を一層高める必要があります。これらの点に鑑み、当社は、自己資本のより一層の充実が必要であると考えております。TCI提案に係る提案の理由に示された有利子負債依存度が高くなるような財務戦略を実行し、当社の財務指標が悪化した場合、当社の事業上のコスト競争力は低下し、中長期的な当社の業績ひいては企業価値に悪影響をおよぼす惧れがあります。


以上のとおり、現在のキャッシュ・フローを原資に新たな成長に向けた事業基盤づくりに取り組み、株主の皆様への還元につきましてはこれまでの事業の成果を反映した現在の水準を着実に維持しつつ、さらなる成長の成果をもって還元の充実に努めることが、株主の皆様共同の利益に資するものと考えております。株主の皆様には、以上述べてまいりました当社のビジネス・サイクルの特徴や、将来の成長原資となる設備投資を中長期的に実施していくことの必要性及びこれらを踏まえた今後の持続的成長に向けた取り組みをご理解頂き、長期にわたって当社を支えていただきたいと考えております。


 



以上


添付書類



Page Top
CLOSE