地域密着型で安全&優秀なガス火力
アメリカ合衆国 Vol.4
グリーン・カントリー発電所

Global J-POWER ―世界とともに―

グリーン・カントリー発電所
アメリカ合衆国 Vol.4

J-POWER 3件目の米国発電所

ガスタービン入口のフィルター。同発電所には6基(ガスタービン用×3基、蒸気タービン用×3基)の発電機が設置されている。
蒸気タービンのブレードを取り付けているところ。
所長のDanny Parishさんと荒田さん。

オクラホマ州にあるグリーン・カントリー発電所は、2007年にJ-POWERと米国ジョン・ハンコック生命保険会社との合弁会社J-POWER USA Generationが権益を取得した3件目の発電所で、100%の権益を取得した初めての案件だ。

19年にJ-POWER USA Developmentに出向し、現在、このグリーン・カントリー発電所をはじめ、11の発電所の技術的サポートを担当しているエンジニアの荒田隆信さんにお話を聞いた。

「グリーン・カントリー発電所は、コンバインドサイクルという、ガスタービンと蒸気タービンの両方を組み合わせた、高効率の発電システムを3系列持つ発電所です。私は日本で石炭火力発電所の保守技術を担当していたので、蒸気タービンについては知見がありましたが、ガスタービンについては一から勉強しなければなりませんでした。グリーン・カントリーのスタッフはフレンドリーで、親切にサポートしてくれたので、大変助かりました」

一方、荒田さんの蒸気タービンの知見が活かされたのが20~22年の同発電所での蒸気タービン動翼(発電タービンの回転体に付いているブレード)更新工事。20年に3号機、21年に2号機、22年に1号機の工事が行われた。

20年の工事では、コロナ禍のあおりを受け、工事業者のコミュニケーション不足などにより大幅な工期遅延が発生。そこで、続く2回の工事では業者との綿密な打ち合わせで工程管理のサポートを強化し、点検・検査を実施、品質管理の確認を行った。これにより、大きな遅延なく工事を行うことができた。その際、破壊破面解析や非破壊検査などの、日本で培った知識・知見が役立ち、とてもやりがいを感じた仕事だったという。

100万時間無事故を讃えるフラッグ。
コントロールルーム。保守管理は、全米で約200の発電所を保守・運転するNAES社が行っている。

チーム力を大事にする米国の一面に感銘を受ける

蒸気タービンの更新工事では、同時に学びも多かったと荒田さん。感銘を受けたのは、同発電所のスタッフが工事業者を頭ごなしに責めず、チーム一丸となって課題解決に努めたこと。

「基本的に相手のモチベーションを上げて質の高い仕事をしてもらうという姿勢が貫かれていて、米国駐在前の私の感覚からすると意外なほどでした。そういう米国の一面を知ることができたことはよかったと思います」

チームビルディングにも力を入れており、機会を見つけてはバーベキューなどを行って親睦を深めている。こうした姿勢が影響しているのか、同発電所のスタッフは特に定着率が高いのが特徴。中には運転開始から働いている人も多い。

「スタッフに経験と知識が豊富に蓄積され、安全に対する意識も高いため、ここ20年ほど、労災につながるような事故が1件も起きていません」

優秀な人材が揃った、安全な発電所だと語る。地元の人を長く雇用し、近くにある別経営の発電所と部品を融通して協力しあうなどの柔軟性も併せ持つ。また、近隣の学校のスポーツクラブにユニフォームを贈り、応援するなどの活動も行っている。地域密着型で、地元からも愛される発電所なのだ。

修理の終わった蒸気タービン。アトランタの工場で撮影。
同僚とプロアイスホッケーNHLを観戦に。中央が荒田さん。
ボランティアで困窮者のための家づくりに参加。
発電所近隣の学校にユニフォームなどを贈り、感謝の写真が飾ってある。