心血を注いで保守する風車に再エネ利用の未来を託して。

POWER PEOPLE

あわら北潟風力発電所(福井県あわら市)

東に名峰白山、西に東尋坊から日本海を望むあわら市は、午前に海風、夕方に陸風が吹き抜けて風況にも恵まれている。2011年、福井県初の大規模ウィンドファームとして誕生したあわら北潟風力発電所は、あわら市の全世帯数の消費電力量に匹敵する発電電力量を誇る一方、農業との共生を図る「あわら夢ぐるま」の愛称で地域の人々に親しまれている存在だ。

「ただ1つ、冬場に雷雲が発生しやすいのが難点で、発電所周辺でひと冬に百数十発も雷が落ちます。この落雷により風車が止まることが時々あって、大雪対策以上に私たちを悩ます課題です」

そう語る辻亮さんは、初任地となったこの事業所で3度目の冬を迎えている。10基ある風車を中心に変電所や送配電線を巡視点検するルーティーンに加え、運転データを監視中にエラーを発見すれば直ちに所員間で連携し、初動を起こすスキルや機敏な行動が求められる。

「風車のある風景は牧歌的でゆったり時が流れるイメージですが、風車を構成する各種機器は精密でデリケートです。トラブル発生時に運転を止め、問題を解決して、再度風車が回り出した瞬間、うまくやれたと充実感に浸れます」

再生可能エネルギーの活用が国策として促される今、風力発電への期待は増すばかり。

「学生時代からエネルギーに興味があり、就職先も再エネ利用に熱心なことが第一条件でした。その志のまま前進し続けたいと思っています」

取材・文/内田 孝 写真/斎藤 泉

ブレード表面の点検は地上からカメラ撮影で行っている。これをドローン撮影に切り替える取り組みを推進している。
風車の心臓部にあたるナセルは地上高75mでブレードの半径は約42m。1基あたりの定格出力は2,000kW。
10基ある風車のほぼ中心、あわら夢ぐるま公園の展望台から各風車の運転状況を目視点検する。
保守チームが詰めている事業所棟。
自ら希望して風力発電の最前線に赴任し、風車愛を語る辻さん。

PROFILE

株式会社ジェイウインドサービス
あわら事業所
辻 亮

※ 株式会社ジェイウインドサービスは、J-POWERのグループ会社です。