キレンジャクの声(北海道根室市)
小島 なお
「音のソノリティ」を詠む
風の音、雪の音、樹の音ひびきちいさい鈴のキレンジャク鳴く
歌人 小島 なお
キリリ。キリリリリリ。小さな鈴が細かく震えるような高い鳴き声。
北海道根室市。冬の厳しい寒さの訪れとともに、シベリアなどの北方から餌を求めてキレンジャクが渡ってくる。全長は約19~20cm、頭にふわふわと生えた短い冠羽と尾羽の先端のあざやかな黄色が特徴。ヤドリギという落葉高木に寄生する植物の実を好み、木の実を食べ尽くすと別の餌を求めて移動してゆく。
実は毎冬かならず渡ってくるわけではない。繁殖地周辺で木の実が豊作だと遠くまで渡りをする必要がなく、日本に飛来するのは4~5年に1度という。
「連雀」という名は平安時代の和歌にも詠まれ、秋の季語になっている。毎年は見られないからこそ、人々の心に深くその姿が印象付けられていたのかもしれない。
※ 「音のソノリティ」第870回放映(キレンジャクの声)を観て詠んでいただいたものです。J-POWERグループは、北海道で糠平ダム・糠平発電所、せたな大里ウインドファームなど、多くの再生可能エネルギー事業を運営しています。
体はスズメのように丸みがあり、尾の先端が黄色をしている。先端が赤いヒレンジャクが群れに交じることもある。
写真:イメージマート
PROFILE
こじま なお
東京都出身。NHK Eテレ「NHK短歌」選者。2004年、角川短歌賞受賞。2007年、第一歌集『乱反射』により現代短歌新人賞、駿河梅花文学賞受賞。2020年4月、第三歌集『展開図』刊行。居合道三段。
音のソノリティ 世界でたった一つの音
J-POWER は、首都圏などで放送中のミニ枠テレビ番組「音のソノリティ~世界でたった一つの音~」を提供しています。「ソノリティ」とは、フランス語の音楽用語で「鳴り響き」の意味。日本の自然風景から、その場所でしか聞くことのできない音を紹介しています。
日本テレビ系列 毎週日曜日 20 :54 ~ など /BS日テレ 毎週水曜日 20 : 54 ~ (再放送)