モンゴル国最大の発電所の信頼性・安定性向上を支援

海外コンサルティングヒストリー

ウランバートル第4火力発電所最適化計画
モンゴル国

ウランバートル第4火力発電所全景

モンゴル国最大の発電所を最適化

日本は、モンゴル国で民主化が進んだ1992年以降、JICA(独立行政法人国際協力機構)の円借款事業として、同国の首都にあるウランバートル第4火力発電所の高効率化に協力。J-POWERはこれまで5回の支援で同発電所の更新工事に参画し、設備効率改善や電力安定供給に寄与してきた。2014年から行われた5回目の支援に参加したJ-POWER国際営業部技術室の新垣壮士さんに話を聞いた。
「ウランバートル第4火力発電所は、モンゴル国最大の石炭火力発電所です。国内の約6割の電力需要を賄い、市内全域に暖房用の温水を供給する重要な役割を担っています。私が参加した5回目の支援では、タービン制御システムや石炭ミル部品の更新などを行いました」
同プロジェクトでは、J-POWERの社員4人と現地のモンゴル人4人でチームを組み、入札支援から施工管理まで一貫したコンサルティング業務を行った。新垣さんは、17年からこのプロジェクトに参加。電気エンジニアとして、タービンの制御装置更新、ボイラーのスートブロワ(すす吹き機)設置工事などを担当した。
新垣さんは、入社後国内火力発電所の運転・保守を担当。このプロジェクトを担当する前は、タイ国で4年9か月にわたって、既設ガス火力発電所の運営監理および新規ガス火力案件の建設監理に携わっていた。新垣さんは、
「このタイ国駐在での建設管理業務の経験をモンゴル国での技術支援に生かすことができた」
と語る。一方、困難も多かったようだ。
「コンサルタント契約では英語が共通言語になっていたのですが、現地の人は英語が話せる人が少なく、コミュニケーションをとるのに苦労しました」
また、ウランバートル市は「世界で最も寒い首都」と言われ、冬季はマイナス30度まで気温が下がる。このため、同発電所は冬季には運転を止めることができず、工事期間が限られており、工程調整などが難しかったという。

温水を市内に供給するパイプと回収するパイプで色が異なる。
発電所に最新の制御装置が導入された。
各機器、センサーと制御装置を結ぶケーブル工事の施工監理も新垣さんの担当。
タービン建屋の外観。
ウランバートル第4火力発電所の貯炭場。石炭はすべて国内で産出される。

発電所では女性スタッフが約4割

大相撲で活躍する力士のイメージが強いモンゴル国は親日国として知られ、「日本人にはやさしかった」と語る新垣さん。
出張ベースの仕事で日本との間を頻繁に行き来したため、現地の人との交流は少なかったが、カウンターパートと行った小旅行ではモンゴル国の広大な自然なども楽しんだという。
「第4火力発電所ではスタッフのうち約4割は女性。日本よりも女性の活躍が進んでいます」
とその印象を語る。
火力発電所は世界的にCO2削減が求められる状況にあるが、新垣さんは
「Jパワーが培ってきた世界最高レベルの高効率石炭火力発電技術や環境保護技術などによって、モンゴル国に貢献できると思います。要請があればぜひ協力したい」
とこれからの抱負を語ってくれた。

カウンターパートとの小旅行で地方に行った時のJ-POWERスタッフ4名。左端が新垣さん。
焼きうどんのようなモンゴルの郷土食「ツォイワン」。ヒツジの肉が使われている。
発電所で働く人の約4割は女性スタッフ。「日本よりも女性の活躍が進んでいます」と新垣さん。