建築を通して描く過去、現在、未来
永山 祐子

Venus Talk

建築家 永山 祐子

「人が集う場所やその暮らしを考えながら、街づくりに関わる仕事は楽しい」と語る永山さん。

ドバイ万博の日本館、新宿歌舞伎町ミラノ座ビルなど大型プロジェクトを手がけ、注目が集まる建築家・永山祐子さん。
「生物物理学研究者の父の分野に近いバイオテクノロジーの道も考えましたが、ミクロの世界より1分の1スケール、つまり等身大で見える世界でものづくりをしたいと建築を選びました」
ドバイ万博の日本館では、日本の伝統的な麻の葉模様とも折り紙とも思える、斬新な膜構造建築のパビリオンを実現させた。
「テーマの『コネクティング・マインド(=つながり)』に合わせて、日本の伝統的な麻の葉模様を立体化し、風にはためく小さなピースを使った膜構造建築にしました。アラベスク的でもあり、シルクロードとの『つながり』を感じてもらえるとうれしいです」
すべてのものは、ものの集積でできている――。父の言葉は、建築にも当てはまると考える永山さん。
「ガラス表面に施される模様の1mm以下のデザインにもこだわりました」
その場所にあるべき建築物は何かを考え、永山さんは「1分の1スケール」の建築物を実現すべく、日々奮闘している。

取材・文/ひだいますみ 写真/竹見脩吾

新宿TOKYU MILANO再開発計画。ビルを覆うガラスの反射を表面のシルクスクリーン技術によってコントロールし、水の反射やしぶきを表現している。(写真は永山さん提供)

PROFILE

建築家 永山 祐子

ながやま・ゆうこ
1975年、東京都生まれ。大学卒業後、青木淳建築計画事務所に勤務。2002年、永山祐子建築設計設立。2006年、AR Awards(英国)「Highly Commended賞」受賞。ドバイ国際博覧会日本館設計、東京駅前常盤橋プロジェクトなどに関わる。