< ツアー概要(A日程) >
- 日程:2024年8月9日(金)・10日(土)
- 参加者数:15組30名
- 場所:奥只見発電所と奥只見ダム周辺(新潟県魚沼市)
小学生親子向け 水力編@奥只見
J-POWER主催「エコ×エネ体験ツアー小学生親子編@御母衣」は、小学4年生から6年生を対象に親子で参加できる夏休みのイベントです。今年の小学生親子向けツアーは、参加人数を増やして実施。奥只見ダム・発電所とその周辺の豊かな自然を舞台として、奥只見ダム・発電所の見学やナイトハイク、朝の散歩、森の体験プログラム、わかりやすく楽しい実験などを通じて、普段は何気なく使っている電気と自然のつながりを親子で体感しながら学びました。2日間のプログラムをレポートします。
ツアー中はスタッフを含め全員、自分自身が名付けたキャンプネームで呼び合いました。文中ではキャンプネームのままで紹介します。
山梨県清里で自然体験や環境教育を運営する公益財団法人キープ協会の「おのの」がツアーを楽しく進めていきます。車内では、後出しじゃんけんや奥只見ダム・発電所の建設時に資機材を運ぶために作られた道路「シルバーライン」などに関するクイズで盛り上がり、車窓から見える雪の多い新潟の特徴も紹介されました。
15組の親子が赤・青・黄・緑の4組に分かれて活動開始です。昼食後は組ごとに自己紹介を行い、続けて席を離れて他の親子との交流をしました。
緑の学園からバスで移動し、奥只見ダムの頂上「天端(てんば)」に到着しました。見学前に、奥只見ダム・発電所の概要が説明され、続けて親子でヘルメットや服装などの安全を確認しました。
奥只見ダムはコンクリートの重さで川の水をせき止める重力式コンクリートダムです。その高さは157mと日本最大級となっています。天端から奥只見湖を見渡しながら、ダムの中央付近まで歩いて進みました。せき止めたダム湖の水を、上から下に落下させる位置エネルギーを利用して電気はつくられます。そのため発電所はダムの地下深くにあります。エレベーターでダムの内部を139m下まで降りていきました。
エレベーターを降りると一気に冷たい空気になりました。うす暗い連絡通路を進み、側溝に流れる水に触れると、子供たちの「冷たい!」という声が響きます。通路の気温は10度ほどで、外との温度差を実感できました。また水車発電機の模型を使った説明では、ダムの水が取水口から水圧鉄管を通って発電機に届き、大きな水車が回ることで電気がどのように生まれるかを詳しく知ることができました。
発電機室では大きな発電機のカバーに手をあてました。運転中の発電機は音を響かせて振動が手に伝わります。参加者からの「運転はどこでしているのですか?」という質問には、現在は埼玉県川越市の制御所から遠隔制御で運転が行われているとの回答がありました。
「奥只見電力館」では、大型スクリーンによる奥只見ダム周辺のドローン映像や、タブレットでダムの360度映像を観賞しました。
夕食後は、「シゲ」さんによる「電気の話」の時間です。電気にはスピードが速い、ためるのが難しい、今使っている電気は今つくっているといったさまざまな特徴がありますが、使う量とつくる量のバランスがとても大事で、それが大きく崩れると停電の原因になります。資源が少ない日本は、エネルギーを輸入に頼っています。安定供給には昼と夜、冬と夏といった条件の違いもみながら、火力や太陽光、水力、風力などをバランス良く組み合わせることが必要です。最後は2050年カーボンニュートラルに向けてS+3E(Safety=安全性、Energy Security=安定供給、Economic Efficiency=経済効率性、Environment=環境適合)がキーワードになると伝えられました。
キープ協会の「みかんちゃん」「もっちゃん」「おのの」がガイドしたナイトハイクでは、灯り(電気)のない暗闇の中で、夜になると葉を閉じるクローバーを観察し、蛙や虫の声にも耳をすませました。広場ではシートを敷き、寝転がって夜空を見上げました。地面で動きながら光るマドボタルの幼虫を探し、また暗闇ではいかに自分の目が暗さに慣れていくのかも体験。灯りの元になる電気の大切さを体感しました。
夜の交流会では手回し発電機をぐるぐると試したり、J-POWERオリジナルの「エコ×エネかるた」で真剣勝負をしたりと、どんどんと子供たちの距離は縮まって仲良くなっていくようすが見られました。
奥只見ダムの見学などの充実した体験で盛りだくさんだった1日目の終了後に、2組の親子にインタビューしました。
「タケちゃん」さん&「こうちゃん」さん親子
環境問題やダムに関心があったので、夏休みの思い出作りのために応募しました。八ッ場ダムや下久保ダムなどの地元のダムには、子供と訪れてダムカードをもらうなど楽しんでいます。今回も奥只見ダムの見学をとても楽しみにしていました。ダムの内部や発電所の仕組みがわかり、とても勉強になりました。明日は遊覧船や森の体験を楽しみにしています(「タケちゃん」さん)。
ダムの見学を一番、楽しみにしていました。いつもお父さんと一緒にダムに行き、ダムカードは10枚ほど持っています。大きなダムや発電所でいろんなことを知ることができて良かったです。特に発電機に手を当てたときには、振動が直接伝わってきて驚きました(「こうちゃん」さん)。
「いとよし」さん&「ヒノ」さん親子
子供が学校の社会科の授業で「水」、理科では「電気」を学んでいて、水力発電の仕組みはどのようなものかと話していました。こうしたツアーに参加するのははじめてで、ダムの内部を見学できるのが楽しみでした。エレベーターでダムの下まで降りて、さらに深い場所に発電所がある。これを人の手で作ったことにとても驚き、人の力は本当に素晴らしいと感動しました(「いとよし」さん)。
自分が読んでいる子供新聞でこのツアーを見つけました。家族旅行ではよく登山や川に行きますが、お父さんと2人だけで旅行するのははじめてです。発電機を実際に目の前にすると、とても大きくて迫力がありました。これからもいろいろなものを見たいと思います(「ヒノ」さん)。