小学生親子向け 水力編@奥只見

エコ×エネ体験ツアー 水力編@奥只見小学生親子ツアー 2021年ツアーレポート

エコ×エネ体験ツアー2021オンライン@小学生親子編 「オンラインで森・水・電気のつながりを学ぼう」
ツアーレポート

J-POWER(電源開発)グループが2007年からスタートした「エコ×エネ体験プロジェクト」は、「エネルギーと環境」の共生をめざして、豊かな自然と生活に欠かせない電気のつながりを伝えていく活動です。昨年の夏はコロナ禍によって現地を訪れるツアーが中止になりましたが、2021年は小学生親子編、初のオンライン開催で復活!親子一緒に美しい映像を楽しみながら、奥只見ダム、水力発電、自然について知り、実験を通じて理解を深めたオンラインツアーのようすをレポートします。(このレポートでは午前の回を例に振り返ります)

「エコ×エネ体験ツアー2021オンライン@小学生親子編~オンラインで森・水・電気のつながりを学ぼう」

< ツアー概要 >

  • 日程:2021年8月12日(木)・13日 計4回開催
  • [A]2021年8月12日(木)9:30~12:00
  • [B]2021年8月12日(木)14:00~16:30
  • [C]2021年8月13日(金)9:30~12:00
  • [D]2021年8月13日(金)14:00~16:30

参加者数:延べ124組約250名の親子
場所:オンラインにて開催

< スケジュール概要 >

  • はじまりの会
  • お互いを知る時間
  • 「奥只見ダム・水力発電所バーチャル見学」
  • 白川郷映像体験「電気のなかった昔の暮らし」
  • 「森の体験プログラム」
  • ドクターと学ぶ「科学の実験教室」~水力発電編~
  • 親子でふりかえろう
  • おわりの会
配布教材
事前に参加者に送られた奥只見の地図やオリジナルリングノート等の学習キット
9:30

みんなのリアクションが楽しい!
「はじまりの会」

約30組の親子がオンラインで集いました。司会は山梨県の清里にあるキープ協会で自然の仕事に携わる「おのの」。「カメラはオン、マイクはオフ、そしてリアクションはキュートに」を合言葉に、いよいよ2時間半のツアーがはじまります。

エコ(自然)×エネ(電気)がテーマです。キープ協会の“おのの”が明るく楽しく進行していきます。
エコ(自然)×エネ(電気)がテーマです。キープ協会の“おのの”が明るく楽しく進行していきます。

「目に見えない電気がどうやって作られて、どのように家庭や学校に届いているのかという“秘密”に迫って、楽しみながら親子が何かを発見してほしいと思います」(J-POWERしげさん)

はじまりの挨拶はJ-POWERの“しげさん”。
質問タイムでは、熱心な子どもたちからの質問にたくさん答えていました。
はじまりの挨拶はJ-POWERの“しげさん”。質問タイムでは、熱心な子どもたちからの質問にたくさん答えていました。

続いて、画面にスタッフ一人ひとりが出てきて面白おかしく自己紹介。エコ×エネ体験プロジェクトでは、電気や自然、映像制作、旅行などのさまざまな専門家が力を合わせて取り組んでいます。

「エコ×エネ体験ツアーを支える熱いスタッフたち」

エコ×エネ体験プロジェクトを支えるJ-POWERエコ×エネの事務局の“よーこば”

実験の助手としても参加したJ-POWERエコ×エネの事務局の“かず”

子どもたちに大好評のおもしろ実験は高倉環境研究所の“ドクター”

森の体験プログラムを案内したキープ協会の“ぱりんこ”

オンラインのグループセッションで参加したキープ協会の“みかんちゃん”

Zoomの管理をはじめとしたツアー担当リボーンの“いきけん”

同じくツアー担当リボーンの“みそ”

発電所や自然豊かな森を撮影した映像担当の“コーラル”

同じく映像担当の“ウルトラの父”

同じく映像担当の“わくちゃん”

9:50

おうちのコンセントはいくつ?
「お互いを知る時間」

まず、どこからの参加ですかという問いかけがありました。参加者は北海道から沖縄まで日本全国から、そしてロンドンからも!世界に広まる「エコ×エネ体験ツアー」です。続いて事前に自宅にあるコンセントの数を調べて、それを書いて発表。電気は身近なもので、コンセントの向こう側の世界はどうなっているのか、子どもたちにいろんな想像が広がります。

自宅にあるコンセントの数を確認!みんな、どんなおうちに住んでいるのでしょうか。
自宅にあるコンセントの数を確認!みんな、どんなおうちに住んでいるのでしょうか。
10:00

日本有数の規模の迫力
ダムと発電所に潜入!
「奥只見ダム・水力発電所バーチャル見学」

みんなが楽しみにしていた「奥只見ダム・発電所のバーチャル見学ツアー」のはじまりです。

新潟県にある奥只見発電所と岐阜県にある御母衣発電所の場所を地図で確認。奥只見ダムと水力発電所は、新潟県魚沼市にあります。
新潟県にある奥只見発電所と岐阜県にある御母衣発電所の場所を地図で確認。奥只見ダムと水力発電所は、新潟県魚沼市にあります。

東京から上越新幹線で1時間30分。JR浦佐駅で降車します。奥只見ダムは駅から1時間ほどバスに乗ったところです。バスから見える美しい景色の数々。夏には鮎釣りで賑わう、水のきれいな魚野川、とてもおいしい魚沼産コシヒカリが採れる田んぼが広がります。

JR浦佐駅からバスや車で奥只見へ向かうと右手に大きな山が3つ見えてきます。新潟は八海山や緑川といった日本酒でも有名で、この日本酒の名前にもなっている八海山と山中ノ岳、越後駒ケ岳の3つの山を合わせて「越後三山」と呼ばれています。
JR浦佐駅からバスや車で奥只見へ向かうと右手に大きな山が3つ見えてきます。新潟は八海山や緑川といった日本酒でも有名で、この日本酒の名前にもなっている八海山と山中ノ岳、越後駒ケ岳の3つの山を合わせて「越後三山」と呼ばれています。

バスはどんどん山の奥へ。おののからは、雪国ならではの生活の工夫が紹介されました。

雪国ならではの生活の工夫。信号機は縦になっています
また道路には雪を溶かす消雪パイプがあり、冬は積雪が2mに及ぶため、おうちの玄関や1階の窓が埋まらないように、家の土台は高くなっています。
雪国ならではの生活の工夫。信号機は縦になっています。また道路には雪を溶かす消雪パイプがあり、冬は積雪が2mに及ぶため、おうちの玄関や1階の窓が埋まらないように、家の土台は高くなっています。

「シルバーライン」を通って、山を越えながら奥只見発電所へ。このシルバーラインは、奥只見ダムと奥只見発電所を作るときに、工事に使うための資材や道具、機械などを運ぶための道として作られました。全長22kmのうちトンネル部分は18km!そして、なんとトンネルの途中に分かれ道。その道を進めば、江戸時代に銀が採れた「銀山平」という場所に出ます。この“銀”は“シルバー”ラインの名前の由来です。最後のトンネルを抜けると、いよいよ奥只見。

「シルバーライン」のトンネルの壁を見るとゴツゴツした岩肌が見えます。およそ60年以上前の工事では、とてもたいへんだったのでしょう。道幅は狭いので、ドライバーさんはたいへん。シルバーラインを抜けると歓声があがることもあるそうです。
「シルバーライン」のトンネルの壁を見るとゴツゴツした岩肌が見えます。およそ60年以上前の工事では、とてもたいへんだったのでしょう。道幅は狭いので、ドライバーさんはたいへん。シルバーラインを抜けると歓声があがることもあるそうです。

奥只見ダムと発電所の見学では、J-POWERグループの奥只見電力館の館長、伊藤さんがガイド。奥只見ダムは完成までに約4年の月日がかかりました。福島県と新潟県の県境を流れる只見川をせき止めて作られています。

シルバーラインのトンネルをくぐり抜けた先に見えてくる「奥只見ダム」は、重力式コンクリートダムです。重力式とは、コンクリートの重さで川の水をせき止める方法のことです。奥只見ダムは高さ157mとこの方式でのダムとしては日本一。幅は480m、体積は163万立方mもあって東京ドームの1.3倍です。
シルバーラインのトンネルをくぐり抜けた先に見えてくる「奥只見ダム」は、重力式コンクリートダムです。重力式とは、コンクリートの重さで川の水をせき止める方法のことです。奥只見ダムは高さ157mとこの方式でのダムとしては日本一。幅は480m、体積は163万立方mもあって東京ドームの1.3倍です。

発電所はダムの地下。発電所で作られた電気は近くにある開閉所という送電設備から、送電線を通って首都圏や東北地方に送られています。ダムでせき止めた水が貯まって できたのが奥只見湖です。

奥只見ダムは只見川をせき止めて作られています。ダムが新潟県と福島県の県境をまたいでいます。
奥只見ダムは只見川をせき止めて作られています。ダムが新潟県と福島県の県境をまたいでいます。
ダムの一番上の天端(てんば)から、ダムの裏側の下方をのぞくと、洪水吐(こうずいばき)が見えます。この洪水吐は、大雨で急激にダム湖の水が増水した時に、青色のゲートを開けてダム湖の水を放流するための設備。ただし、奥只見ダムの場合はダム湖が大きいため、運転を開始した1960年以来、放流は60年間でたったの8回だそうです。
ダムの一番上の天端(てんば)から、ダムの裏側の下方をのぞくと、洪水吐(こうずいばき)が見えます。この洪水吐は、大雨で急激にダム湖の水が増水した時に、青色のゲートを開けてダム湖の水を放流するための設備。ただし、奥只見ダムの場合はダム湖が大きいため、運転を開始した1960年以来、放流は60年間でたったの8回だそうです。

ここで伊藤さんが葉っぱを使った実験をしました。

ダムの裏側に葉っぱを投げると……。ダムの下からの上昇気流の影響で、葉っぱすべてが下に落ちることなく、一気に舞い上がった!
ダムの裏側に葉っぱを投げると……。ダムの下からの上昇気流の影響で、葉っぱすべてが下に落ちることなく、一気に舞い上がった!

いよいよエレベーターに乗ってダムの中に潜入です。エレベーターを使って、ダムの中を約140m下に降りていきます。ドキドキします……。

一番上のフロアから下へ降りるので、エレベーターのフロアの表示は下に向かって11階となっています。下に行くほど数字が増えていきます。普通のエレベーターとは逆の表示で、地下を表す「B」の表示はありません。
一番上のフロアから下へ降りるので、エレベーターのフロアの表示は下に向かって11階となっています。下に行くほど数字が増えていきます。普通のエレベーターとは逆の表示で、地下を表す「B」の表示はありません。

エレベーター内にあるダムの断面図を見ると、発電所はダムの下にあることがわかります。

水を取り入れるための取水口は各発電機室の上にあります。4号発電機は電気がさらに使われるようになって、あとで増設したものです。4号機のための取水口は、1~3号機の取水口よりも少し上にあります。黄色いラインがエレベーターです。黒いラインは、ダムを点検するための通路で「監査廊」と呼ばれています。
水を取り入れるための取水口は各発電機室の上にあります。4号発電機は電気がさらに使われるようになって、あとで増設したものです。4号機のための取水口は、1~3号機の取水口よりも少し上にあります。黄色いラインがエレベーターです。黒いラインは、ダムを点検するための通路で「監査廊」と呼ばれています。

11階に到着すると、そこから連絡通路を200mほど通って、さらに発電機室へ降りるエレベーターへ向かいます。

発電機室に降りるためのエレベーターに向かう連絡通路はひんやり。この連絡通路の気温は、年間通じて10度前後です。ダム湖の下方の水が年間を通じて5度前後で安定しているため、ダムの外と比べると、夏は涼しく、冬は暖かく感じるそうです。温度からダム自体がせき止めて貯めた水と接していることがわかります。通路の蛍光灯の周りを見ると、壁が緑色になっています。これは苔の仲間で、蛍光灯の光で光合成を行っているので、蛍光灯の周りに苔が生息しています。
発電機室に降りるためのエレベーターに向かう連絡通路はひんやり。この連絡通路の気温は、年間通じて10度前後です。ダム湖の下方の水が年間を通じて5度前後で安定しているため、ダムの外と比べると、夏は涼しく、冬は暖かく感じるそうです。温度からダム自体がせき止めて貯めた水と接していることがわかります。通路の蛍光灯の周りを見ると、壁が緑色になっています。これは苔の仲間で、蛍光灯の光で光合成を行っているので、蛍光灯の周りに苔が生息しています。

発電機室は手前から1号機、2号機、3号機、4号機の発電機が並びます。ダム湖に蓄えられた水が4本の水圧鉄管を通って、発電機まで運ばれています。水力発電は、高いところにある水は低いところへ運ばれるという「位置エネルギー」を利用して、巨大な水車を回して発電する方法です。そのため、水の量と水の落差が発電の出力に大きく影響しています。

発電機室には1・2・3号機とあとから増設された4号機があります。今年は20年に一度の1号機のメンテナンスで、発電機が置いてある部屋の中は、分解されたさまざまな機材が置かれています。
発電機室には1・2・3号機とあとから増設された4号機があります。今年は20年に一度の1号機のメンテナンスで、発電機が置いてある部屋の中は、分解されたさまざまな機材が置かれています。

水力発電は現在、電気の使用量が増える日中や夕方のピーク時対応として使われています。4号機は、電気の需要が増えたために増設され、一度に1秒間で最大138立方メートルの水を使います。これは25mプールを3秒間でいっぱいにするほどの大量の水の量です。

発電機はダムの下にあります。水車に流れ込む水の力で水車が回り、水車によって回る回転軸につながる磁石がコイルとコイルの間で回ることで電気が発生します。発電に使われた水は、ドラフトチューブという導水管と地下の放水路を通って3km下流の川に流れていきます。子どもたちも興味津々なようす。
発電機はダムの下にあります。水車に流れ込む水の力で水車が回り、水車によって回る回転軸につながる磁石がコイルとコイルの間で回ることで電気が発生します。発電に使われた水は、ドラフトチューブという導水管と地下の放水路を通って3km下流の川に流れていきます。子どもたちも興味津々なようす。
発電機の上には、1台で260トンを吊り上げる天井クレーンが2台ありました。保守点検などで重いローターを吊り上げる時に使用しているそうです。
発電機の上には、1台で260トンを吊り上げる天井クレーンが2台ありました。保守点検などで重いローターを吊り上げる時に使用しているそうです。
搬入口はダムの外部からトラックなどで資材を運搬し、天井クレーンで吊り上げて、発電機に必要な資材の上げ下ろしを行なう場所です。この搬入口からダムの外に出て見上げると、ダムの大きさがわかります。まだ雪が残っていますね。
搬入口はダムの外部からトラックなどで資材を運搬し、天井クレーンで吊り上げて、発電機に必要な資材の上げ下ろしを行なう場所です。この搬入口からダムの外に出て見上げると、ダムの大きさがわかります。まだ雪が残っていますね。

奥只見ダムの近くには「エコパーク」があります。

奥只見には希少な鳥類のイヌワシやクマタカ、湿地にはモリアオガエルやムツアカネと言われる希少な生物が生息しています。2003年の4号機の増設工事では、イヌワシの繁殖(はんしょく)に影響を与えないよう、騒音に配慮し、工事から出た土を埋め立てたところに湿地を移し、この「エコパーク」を作りました。
奥只見には希少な鳥類のイヌワシやクマタカ、湿地にはモリアオガエルやムツアカネと言われる希少な生物が生息しています。2003年の4号機の増設工事では、イヌワシの繁殖(はんしょく)に影響を与えないよう、騒音に配慮し、工事から出た土を埋め立てたところに湿地を移し、この「エコパーク」を作りました。

水車を回して電気を作るとはどのようなことなのか? ダムと発電所の迫力映像を楽しんだあとは、エコ×エネ体験ツアー名物「ドクター」が笑いを誘いながら「電気ができる仕組み」の解説!