湯之谷揚水発電所計画の中止並びに
「佐梨川総合開発事業」からの撤退について
平成13年9月5日
電源開発株式会社
電源開発(株)は、湯之谷揚水発電所の建設に向けて諸準備を実施してまいりましたが、この度、本計画を中止せざるを得ないとの決定にいたりました。

湯之谷揚水発電所計画につきましては、約10年前の旺盛な電力需要の増勢を背景に、東地域電力2社(東北電力(株)、東京電力(株))におけるピーク需要対応の広域電源として、新潟県湯之谷村と入広瀬村において、湯之谷揚水発電所180万キロワットを建設し、平成23年度の運転開始を目指し、これまで建設に向けて諸準備を進めてきたところであります。

しかしながら、東地域電力2社の電力需要は、ここ数年の長引く景気低迷、省エネルギーの進展や負荷率平準化によるピーク需要の伸び悩み、並びにガス冷房や自家発電の普及増等、需要構造の大きな変化もあり、ピーク需要の見通しを大幅に下方修正せざるを得なくなり、具体的な開発時期が見通せない状況となりました。また、電気事業をめぐる様々な経営環境の変化に加え、弊社においても民営化を控え一層の経営効率化を推進する必要がありますことから、東北電力(株)、東京電力(株)2社と弊社の間において湯之谷揚水発電所計画の取扱いについて協議してまいりました結果、湯之谷揚水発電所計画を中止せざるを得ないとの結論にいたりました。

これに伴い、湯之谷揚水発電所計画は、新潟県が施行主体で進めております「佐梨川総合開発事業」を下池とする一体の計画であることから、本日、同事業から撤退することについて、新潟県をはじめ湯之谷村及び入広瀬村並びに小出町に対し、申入れを行うこととしております。

これまで本計画推進にあたり、ご理解ご協力をいただきました地元をはじめ関係者の皆様に感謝申し上げますとともに、かかる結論にいたりましたことにつきまして、何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。
以上
問合せ先 電源開発(株) 総務部広報室 辻村 TEL 03-3546-9378
湯之谷揚水発電計画及び佐梨川発電計画

1.本計画の特徴
  1. 湯之谷揚水:東地域2社(東京、東北)に電力供給する大規模広域電源。
    佐梨川水力:下池ダムに付加した一般水力。東北に電力供給。
  2. 新潟県の総合開発ダム(補助ダム)に共同事業者として発電参加。
    ・目的:洪水調節、流水の正常な機能の維持、水道、消流雪用水、発電(揚水、自流)
    ・アロケ負担率:治水37.0%、水道 1.4%、克雪 0.1%、揚水61.2%、一般水力 0.3%
2.計画概要および地点概況
【計画概要】
  • 湯之谷揚水計画は、信濃川水系黒又川の支流である明神沢川上流部に上池を、信濃川水系魚野川の支流である佐梨川上流部に下池(新潟県の総合開発ダム)を設け、この間の有効落差 400.5mを利用し、最大使用水量 540立方メートル/sにより最大出力 180万キロワットの純揚水発電を行うものである。また、佐梨川発電計画は下池の佐梨川ダムに発電参加するもので、有効落差88.5m、最大使用水量 6.0立方メートル/sにより最大出力 4,400キロワットの発電を行うものである。
  • 所在地:(上池)新潟県北魚沼郡入広瀬村  (下池)新潟県北魚沼郡湯之谷村

【地点概況】
  • 上部ダム地点は全域国有林であり、下部ダム地点はすべて民有地である。
  • 本計画区域の全域が「越後三山只見国定公園」の第2種特別地域内である。
3.経 緯
S47年 通産省揚水調査
S47〜58年 電発・東京電力・東北電力による共同調査。
S58年電力需要の低迷により共同調査を中断。
H03年09月 新潟県知事、湯之谷村村長に調査再開申入れ。
H03年10月 入広瀬村村長に調査申入れ。
H06年04月 佐梨川ダム基本協定締結。(新潟県、湯之谷村、小出町、電発)
H09年02月 地元へ建設申入れ。
H09年07月 県知事、電調審上程同意。第135回電調審通過。
現在 佐梨川ダム(下池:新潟県施行主体)の用地測量、地質調査、環境調査等を実施中。
目標工程(大工程)
平成09年07月 電調審
平成15年07月 着工
平成23年06月 湯之谷1号・佐梨  運開
湯之谷揚水発電計画諸元
項 目 上 池 下 池
河川名 明神沢川 佐梨川
発電方式 ダム水路式、純揚水
流域面積 2.8平方キロメートル 27.9平方キロメートル
調

名称 上部ダム 下部ダム
有効貯水量 1,580万立方メートル 2,340万立方メートル

型 式 コンクリート重力 ロックフィル
体 積 130万立方メートル 340万立方メートル
項  目 諸 元


導水路 1号:3,027m、 2号:3,063m
水圧管路 1号:1,641m、 2号:1,643m
放 水 路 1号: 483m、 2号: 473m



基準有効落差 400.5m
最大使用水量 540立方メートル/s
最大出力 180万kW
ピーク継続時間 8hr
佐梨川発電計画諸元
項  目 諸 元
水 路(水圧管路) 共同設備 336.5m、発電専用設備 444.3m




有効落差 88.5m
最大使用水量 6.0立方メートル/s
最大出力 4,400キロワット
年間可能発生電力量 1,690万キロワット時
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