チャンココ(長崎県五島市)
小島 なお

「音のソノリティ」を詠む

鉦(かね)の音(ね)はめぐりを遠くするひびき盆の素足がひたひたと来る

歌人 小島 なお

チャン、チチ、チャンチャン、チチ。コンコン。
ヤー、レー、ヤー、オー。

長崎県五島市福江島。毎年旧盆の8月13日からの3日間、「チャンココ」の鉦と太鼓の音が集落に響く。「チャン」は鉦、「ココ」は太鼓の音と言われる。島に伝わる古い念仏踊りで、踊り手たちは半袖の襦袢に腰蓑、花笠を被り、太鼓をたたきながら、重鉦(おもがね)と小鉦(れいこ)の音と歌声に合わせて踊る。初盆の家の前や墓を回り、先祖の御霊を鎮めるという。

1187年にはすでに行われていたというが、その起源ははっきりとはわかっていない。南方系の情緒あるエキゾチックな踊りが特徴。踊り手は成人男子に限定されており、長い歳月を親から子の世代へ受け継いできた。

周りを海に囲まれた島には、独特の時間と伝統が脈々と息づいている。

※「音のソノリティ」第944回放映(チャンココ)を観て詠んでいただいたものです。J-POWERグループは、長崎県で松島火力発電所や松浦火力発電所などを運営しています。

長崎県指定無形民俗文化財。腰蓑は、ビローの葉か蒲の葉でできており、首から下げた太鼓をたたきながら踊る。
写真:黒岩 正和/アフロ

PROFILE

こじま なお

東京都出身。NHK Eテレ「NHK短歌」選者。2004年、角川短歌賞受賞。2007年、第一歌集『乱反射』により現代短歌新人賞、駿河梅花文学賞受賞。2020年4月、第三歌集『展開図』刊行。居合道三段。

音のソノリティ 世界でたった一つの音

J-POWER は、首都圏などで放送中のミニ枠テレビ番組「音のソノリティ~世界でたった一つの音~」を提供しています。「ソノリティ」とは、フランス語の音楽用語で「鳴り響き」の意味。日本の自然風景から、その場所でしか聞くことのできない音を紹介しています。

日本テレビ系列 毎週日曜日 20 :54 ~ など /BS日テレ 毎週水曜日 20 : 54 ~ (再放送)