1割を超える供給力でタイ国の電力安定供給に貢献
タイ王国 Vol. 1
J-POWER Generation(Thailand)

Global J-POWER ―世界とともに―

J-POWER Generation(Thailand)
タイ王国 Vol.1

安定供給を維持しながら課題に取り組む

カエンコイ2ガス火力発電所は、2004年にJ-POWERがタイ国で初めて資本参画したIPP。
近代的なビルが立ち並ぶバンコク。

J-POWERとタイ国との関わりは、J-POWER設立の1952年から10年もたたない1960年代に始まる。62年に水力発電所の設計・施工管理のコンサルティングを行った後、水力・火力・バイオマス・送変電などで40件以上のコンサルティングの実績を積み重ねた。こうしてできた同国国営電力会社(EGAT)との信頼関係を背景に、2000年代に入ると、J-POWERは、ローカルパートナーとともに発電所の開発・運営・保守にも参画、現在3つのIPP(Independent Power Producer:独立系発電事業者)と、10のSPP(Small Power Producer:小規模発電事業者)およびルーフトップソーラー事業に投資している。J-POWERが出資する発電所の合計出力は現在560万kWとなっており、これはタイ国全体の発電設備の1割強、持分出力でも313万kWに達し、同国にとって重要な位置付けの電力会社となっている。J-POWER国際業務部でタイ国を担当するプロジェクト管理室タイタスク総括マネージャー 寺澤真樹さんにお話を聞いた。

「タイ国との関係も60年以上となり、EGATや現地事業パートナーとの信頼関係をベースに、同地で14件の発電事業に取り組んでいます。タイ国の電力事情はほぼ成熟し、需要の伸びも鈍化してきたので、発電所を次々と新設する方針を転換し、既存発電所の安定的な運営やリプレースに重点を置くようになりました」

寺澤さんは今後の目標を次のように語る。

「第一に、当社が運営する設備の保守管理を徹底し、電力の安定供給に努めます。第二に、電力販売契約(PPA)の期限満了を機にリプレースが可能な設備について、円滑に実施する道筋をつけること。そして、第三に、時代の要請である再エネを拡大していくことを考えています」

実際、リプレース案件としては、ラヨンEGCOコジェネレーション発電所がある。同発電所では、運転を継続しつつ、同じ敷地内に新設備の建設が進められている。また、再エネ案件としては、ルーフトップソーラー事業が始まっている。

「これは、SPPが電力を供給している工業団地など、お客様の工場屋根にソーラーパネルを設置し、工場に電力を供給するものです」

電力料金の高騰や環境意識の高まりから、順調な滑り出しを見せているという。

工場の屋上などに設置するルーフトップソーラーパネル。
サラブリNK2コジェネレーション発電所。
現地法人J-POWER Generation(Thailand)が入居するエクスチェンジタワー。
ラヨンEGCOコジェネレーション発電所では、リプレース工事が進んでいる。

成長を続けるタイ国とともに

22年からタイ国担当となった寺澤さん。

「実は25年以上前の学生時代にバンコクに行ったことがありました。コロナ禍で、現地へ出張できたのはまだ一度だけですが、その際、格段に発展したタイ国の姿に驚きました。発電所の保守・運営はすでにシステム化されているので、頻繁に現地に行けなくとも、問題なく業務が回っていると感じます」

タイ国の電力市場が成熟してきた中で、新しいビジネスモデルも模索していきたいと語る寺澤さん。同国電力に占める重要度に鑑み、責任とやりがいも感じていると話してくれた。

バンコクの庶民の足となっているトゥクトゥク。
2015年に運転開始したウタイガス火力発電所は、160万kWの発電能力を持つ。
タイ出張の際に、現地法人のスタッフと撮った写真。寺澤さんは後列左から5番目。