ラオス国の水力発電所で運転保守(O&M)の技術支援
海外コンサルティングヒストリー
ナムグム第二水力発電所O&Mアドバイザリーサービス業務
ラオス人民民主共和国
保守のアドバイザリーという業務
東南アジアの中央に位置するラオス国。ASEAN10カ国の中では3番目に人口が少なく、唯一の内陸国だが、アジアを代表する大河・メコン川が国内を北から南に縦断しており、水力資源に恵まれている。理論包蔵水力は約2,650万kWといわれ、電力の多くが隣国のタイ国やベトナム国に輸出されている。2017年の電力輸出額は約1,400億円、ラオスの総輸出額の30%に迫る規模で、これによって得られる外貨が同国の経済成長に大きく貢献している。
J-POWERは、これまでに同国で10数件のコンサルティング事業を行ってきたが、今回はナムグム第二水力発電所の保守に関するアドバイザリーサービス業務について、同プロジェクトを担当したJ-POWER国際営業部技術室室長代理の村上学さんにお話を聞いた。
「ナムグム第二水力発電所はラオス国内にありますが、運営主体はタイの民間発電会社で、2013年に当社に仕事を依頼してきたのも、そのタイ企業でした。依頼内容は発電所の運転と保守(以下O&M)に関わるアドバイザリー業務、具体的にはマネージャー候補の新人社員の教育、O&Mマニュアルの作成、発電設備のアセスメント、そして定期点検等O&Mに関する技術支援です」
通常、J-POWERが行っているコンサルティング業務は発電所建設に関するものが多いが、ナムグム第二水力発電所は既に完成しており、運転も開始されていた。異例ずくめの依頼に、「最初はお断りしました」と村上さん。だが、相手からの再度の依頼もあり、保守のノウハウを持つ関連会社J-POWERハイテックと協力する形で受諾した。
受け入れ先探しに奔走した研修
村上さんがプロジェクトに着手したのは2014年。同時期にJ-POWERのOBが客先の現地管理事務所長になったこともあり、実務はスムーズに進んだ。しかし、客先が要求した日本国内での長期受け入れ研修を引き受けてくれる発電所探しには難航した。
「以前自分が勤務し、O&Mに関わった日本とフィリピンの発電所にお願いして、何とか引き受けてもらえることになりました。研修生は皆、優秀な人たちで、研修に意欲的に参加していました。彼らとは現在も交流が続いています」
3年がかりのこのアドバイザリー業務は、2016年末に終了。J-POWERグループが一体となり、多岐にわたるカリキュラムによって実効のある技術を提供できたことで、客先から高い評価を受けた。
ナムグム第二水力発電所で発電された電力はほとんどがタイ国に送られ、現地での製造業などに利用されるとともに、ラオス国に外貨をもたらし、両国の経済発展に貢献することだろう。その発電所の運営に今もJ-POWERグループの保守管理技術が活かされている。