短編小説「風を起こす町」
藤岡 陽子

Home of J-POWER

※コロナ禍で取材ができないため、今回は藤岡陽子さんによる短編小説を掲載します(2018年1月発行の本誌52号の写真を再利用しています)。

青々とした牧草地が広がるくずまき高原牧場。

作家 藤岡 陽子/ 写真家 大橋 愛

曲がりくねった細い山道を、車はゆっくりと進んでいった。運転は夫の陽介に任せ、和奈(かずな)と娘の舞花(まいか)は後部座席に座っている。上外川高原が見えてきたところで窓を開けると、草の香りを含んだ風が、車の中を吹き抜けていく。
「あ、ママ、牛さんがいる!」
舞花が大きな声を上げ、牛の群れを指差す。二年ぶりに帰省した故郷の原風景は、混沌とした日々に凝り固まっていた和奈の心を瞬時にほぐしてくれる。
「あら、ほんと。見られてよかったねー」
高原には牛が放牧されているのだが、それもこの十月いっぱいくらいのことで気温が低くなると牛舎に戻ってしまう。カラマツが葉を落とし始め、高原に続く道も通行止めになり、町は冬支度を始めるのだ。
白い風車のそばまでくると、和奈は陽介に頼んで車を停めてもらった。会社の同僚だった陽介とは六年前、二十九歳の時に結婚した。彼はどんなに忙しい時でも気持ちが安定していて、機嫌の良し悪しがない。なにより彼の前では正直になれたことが、結婚の決め手だった。
「舞花、見て。これが風車だよ」
四歳になる娘は、これまで一度も風車を見たことがない。
テレビや絵本に描かれたものはあるだろうが、本物は初めてだ。標高1,000メートルを超える上外川高原には三十四基の風車が立ち並び、葛巻町の観光名所にもなっている。
「パパ、抱っこ」
風車の大きさに怯んでしまったのか、舞花が目を丸くして両手を大きく伸ばす。遠くからだとわからないが、こうして真下から見上げる風車にはかなりの迫力がある。
「舞花、風車ってすごいんだよ。風を受けて、羽根を回して、電気をつくるの」
「風が電気になるの?」
「そうだよ。だからこの町では、風は特別な存在なんだ。牛さんと同じように、とっても大事なの」 
和奈の故郷である葛巻町は、東北一の酪農郷と言われている。酪農以外にもホテルやレストランを建設して県内外の観光客を呼び寄せたり、地元の工場でワインを醸造したりと、人口六千人足らずの町とは思えない挑戦をいくつも積み上げてきた。そしてそこに風力発電が加わった。平成十五年に町で風力発電が始まった時、和奈は自分が日本の中心にいるように感じた。私の生まれ育った町にはいつも、新しい風が吹いている。
「ここだっけ? きみが死にかけた場所って」
風車を背に舞花の写真を撮っていると、陽介が訊いてくる。
「ここじゃないよ」
陽介には、大雪の日に危うく遭難しかけたという話をしたことがある。「もしもあの時、誰も助けてくれなかったら、私は死んでいたかもしれない」という、雪国育ちの人間なら一つ二つはストックしている恐怖体験だ。
「あれ? そうだっけ。上外川高原って言ってなかった?」
「高原じゃないよ。高原に入る手前の道だよ」
いまはまだ瑞々しい緑を残す高原だが、本格的な冬が到来すると、風車も雪景色と同化する。
雪深いそんな時期にこの高原を訪れるのは、風車の点検に来る風力発電所の所員さんくらいだった。

岩手県の中部に位置するこの葛巻町は、和奈が十八歳まで暮らした町だ。和奈の実家は七十年以上続く酪農家で、曾祖父にあたる人が牛を一頭手に入れたのが始まりだったという。
曾祖父が始めた酪農を祖父が継ぎ、いまでは父と母との三人で百頭近い牛を飼って生計を立てていた。
一人娘の和奈は、まだ幼い頃から自分もまた酪農家になるのだと思っていた。祖父も両親もいずれは和奈に家を継がせるつもりでいたし、自分自身その未来を疑ったことはなかった。
でも高校三年生の時、和奈は突然、この町を出ようと思った。忘れもしない平成十六年の一月十八日。センター試験の二日目を終えた冬の日に、まるで雷に打たれたかのように突如思い立った。
あの日、和奈は夕方に試験を終え、会場を出たその足で高校の担任に会いに行った。
「先生、私、県外の大学に志望校を変えようと思います」
職員室の片隅に置いてある古ぼけたソファに、和奈は担任の湖中先生と向き合って座っていた。すぐそばに電気ストーブがあって、薄暗い室内にニクロム線の赤がきれいに映えていたのをいまでも憶えている。窓の向こうでは朝から降っている雪が勢いを強め、曇ったガラスを叩いていた。
「どうした急に……センターができなかったのか?」
その年の三月、和奈たちの卒業と同時に定年退職を迎える湖中先生は、眉間にぎゅっとしわを寄せた。
「試験はできたっけど……」
日本史と生物で得意分野が出題されたことで、自己採点では予想得点の一割増しをマークしていた。正直なところ、この得点をもって二次試験に臨めば、第一志望の地元の国立大学は安全圏だった。
「んだば、どうして?」
湖中先生に訊かれ、そこで初めて、自分はどうして町を出たいのだろう、と考えた。でもいくら考えたところで明確な理由などなく、湖中先生と一時間近く話しこんだ末、結局は「ご両親とよく相談して決めなさい」と言われ、結論の出ないまま職員室を後にした。
校舎を出ると日はとっくに沈んでいて、和奈は傘をさしながら学校前の道を歩いた。家に戻るなら右に曲がらなくてはいけない交差点をまっすぐ進み、雪に覆われた国道三四〇号線を黙々と進んでいく。誰もがスマホを持っているいまとは違い、センター試験が終わったことも、その後学校に寄っていたことも、家には連絡していなかった。

どれくらいの時間、歩いただろうか。 
首筋から入り込む冷気に体が震え、思わず足を止めた。
国道三四〇号線をひたすら南に進み、気がつけば滝沢橋のバス停まで歩いていた。この先を右に曲がれば上外川高原に続く山道に通じるのだが、冬期は通行止めになっている。
上外川高原は、祖母と一緒にしょっちゅう山菜を採りに行った思い出の場所だった。夢中になって藪の中へと入ってしまい、迷子になったこともある。高原に風車が建設されてからも何度か訪れ、その時祖母は、「うっかり藪の奥深くに入りこんでも、風車が回る音を頼りに戻ってこられるね。私たちの音標(おとしるべ)だね」と笑っていた。
そんな祖母は昨年、和奈が高校二年生の夏に病気で亡くなった。
(おばあちゃん、会いたいな……)
祖母は地元の人ではなく、東京から嫁いできた人だった。旅行中、盛岡市から葛巻まで足を伸ばした時に、牧場で働いていた祖父と出会ったのが二人の馴れ初めだったと聞いている。
あれは祖母が亡くなる一週間ほど前のことだったろうか。
祖母の容体がいよいよ悪くなったある日の午後、病室で母が、「お義母さん、男の子を産めなくてすみませんでした」と涙ながらに謝っているのを聞いた。祖母は「なに言ってるの。あんなに可愛い女の子を産んでくれて、私は本当に嬉しいよ」と返し、「あとを頼むね。家族みんなで牧場を守ってね」と声を震わせていた。
和奈は泣き声が響く病室に足を踏み入れることができず、それから三十分ほど病院のロビーで時間を潰した。
そんな昔のことを思い返しながら、傘をずらして灰色の空を見上げた。雪がつぶてになって真正面からぶつかってくる。息が詰まり、目を開いているのも辛く、もうこれ以上は歩けないなと思ったら、膝から下が雪に埋まっていた。車の往来が少ないせいで、この辺りは雪が柔らかく深いのだろう。
足を抜いて進むのももどかしく感じ、和奈はその場所に突っ立ったまま動くのをやめた。雪は大量に吹きつけてきたが、たいしてもう寒さは感じなかった。

「大丈夫? ここでなにしてるの?」
体を揺すられ、ゆっくりと両目を開けた。まつ毛が凍っていたのかチリッと小さな痛みがある。
「ぼくの声が聞こえますか? 話せますか?」
固まっていた瞼を開くと、目の前に見知らぬ男の人が立っていた。辺りが暗くてはっきり顔は見えないが、自分より年上だということはわかる。
「話せま……す」
首の付け根に力を入れて、なんとか声を出す。唇が痺れて、言葉がもつれた。
「こんな雪の中をどこへ行くの?」
車で家まで送っていくから、と男の人が言ってきた。
和奈は首を横に振り、とにかく歩き出そうと両膝に力をこめる。
「君の行きたい場所まで送っていくよ、とにかくこっちへ」
男の人が和奈の足元にしゃがみこみ、雪にからめとられたスノーブーツを引き抜いてくれた。足元がふっと軽くなり、バランスを崩しそうになる。
「……コンビニまで乗せてもらえますか」
君の行きたい場所までと言われても、どこに行きたいのかはわからない。ただ家には帰りたくなかった。
和奈を車に乗せ、男の人が連れて行ったのは、コンビニではなく紺色の暖簾がかかったこぢんまりとした食堂だった。こんな大雪の日も営業している店があるのだと、軽く驚く。男の人に促され店内に一歩足を踏み入れると、暖房の効いた室内は暖かく、熱い湯に浸かった時のように全身がほどけた。
「これ、いちおう念のため。本当は名刺を渡せればいいんだろうけど、いま持ってなくて」
男の人はポケットから社員証を取り出すと、かじかんだ和奈の手のひらに載せた。社員証には男の人の顔写真と、会社の名前が記してある。和奈も知っている会社名で、目の前の男の人が、この町にある発電所の所員さんであることがわかった。
「関口……さん?」
「ええ、関口といいます。地元の人間ではないですが、この町でもう五年近く働いています」
壁際の四人掛けのテーブルの前に座ると、
「なに食べますか? なんでも、遠慮しないでいいですよ」
と関口さんは壁に貼られたお品書きを指差した。緑地の横長の紙に白い文字でメニューと値段が書かれている。
「私は……いいです」
遠慮というより、いま会ったばかりの見知らぬ人とご飯を食べる気になれず、目を伏せ首を振る。
「じゃあぼくだけ」
おじさん、中華そばひとつ、と関口さんが声を張った。注文した中華そばがテーブルに出されると、関口さんは「いただきます」と手を合わせ、ずずっ、ずずっと一心不乱に麺をすすり、和奈の存在など忘れたかのようだった。
そっと目線を上げて、湯気ごしに関口さんの顔を窺う。三十代か、四十代……。あるいは五十歳くらいなのかもしれない。年上の人の年齢は、よくわからない。
「あの、やっぱり私も……同じものを注文していいですか」
醤油と鶏ガラの匂いに刺激され、思わず口にしていた。関口さんが、大きな声で中華そばを追加注文してくれる。
「今日、センター試験の二日目だったんです。あ、私は高校三年生で、いま大学受験のまっ最中で……」
熱々の中華そばを一本ずつゆっくりとすすり、和奈はぼそりぼそりと自分の話をした。関口さんはうん、うんと頷きながらも目線はラーメン鉢から外さず、ずずっ、ずずっを続けている。
「志望校は地元の国立なんです。農学部の動物科学科が第一志望です。そこなら自宅から一時間ほどで通えるから……」
脂の浮いた透明なスープを蓮華ですくい、口に運びながら和奈は一方的に話し続けた。
「うちは家が酪農をしてるんで、大学では家業に役に立つ勉強をしたほうがいいって考えたんです。私は一人っ子だし、大学の費用も親に出してもらうんだから、それが一番だと思っていて……」
店内にはひっきりなしに客が来た。常連客が多いのか、店主と親しげに話しこむ人もいる。雪はまだ降り続いているようで、店に入ってくる客の頭や上着がまっ白に染まっていた。
「二次試験を控えたこんな時期なんですけど、私、自分が本当に酪農をやりたいのかわからなくて……。でもそんなこと言ったら家族が……亡くなった祖母もがっかりするだろうし……」
和奈が話している間、関口さんはほとんど言葉を発さなかった。でもだからといって退屈しているふうでもなく、時々は眉根を寄せたり、目を細めたりして、相槌は打ってくれた。和奈はメンマの切れ端まで蓮華ですくい、スープを全部飲み干した後も夢中で自分の思いを口に出し続け、気がつけば病床の祖母と母とのやりとりまでも涙ながらに語っていた。
溜め込んでいたものをすべて吐き出し、和奈の口からもうなにも言葉が出てこなくなるのを見ると、関口さんが、「そろそろ帰ろうか」と席を立った。二人分の中華そば代を支払う関口さんの背中を見ながら、体がすっかり温まっていることに気づく。
「あの、今日はどうも……ありがとうございました」
車が自宅前の道路に停まると、和奈は運転席のほうを向いて深々と頭を下げた。もっと他にもお礼の言葉を言いたかったが、その一言しか思いつかなかった。
「うん、気をつけて。受験も頑張って」
「はい……」
運転席に背を向け、助手席のドアを開けようとした時だった。
「あのさ」
振り返ると、関口さんが、
「あのさ、ぼくはこの町を、風を起こす町だと常々思ってるんだ」
と、大切な秘密を打ち明けるような顔で言ってきた。
「この町の人は変化を怖れないし、努力することを厭わない。挑む者の背を押す風が吹いていると、いつも感じているんだ。だから、きみが自分の考えていることをご両親やおじいさんに正直に話せば、わかってもらえるんじゃないかな」
物音ひとつしない夜に、関口さんの声だけが静かに響いていた。ヘッドライトに照らされた雪が、淡いオレンジ色に光っている。
「正直に……話す?」
「そう。正直になったほうが人生は楽だよ。たった一人でいいんだ。自分の気持ちを正直に話せる相手を見つけるんだ。それだけで、人生はずいぶんと生きやすくなる」
正直に話せる相手、と言われて初めて、自分がこれまでずっと本心を隠し続けてきたことに気がついた。父にも母にも祖父にも、本当の気持ちを言えずにいたのだ。その結果が「この町を出たい」に繫がったのだと腑に落ちた時、関口さんの車はすでに白い闇の中に消えてしまっていた。

五メートルほど先を歩く、陽介の背中をぼんやりと眺める。抱っこをせがむ舞花を肩車し、もう少し先にある二つ目の風車を目指してゆっくりと山道を上がっていく。
あの日、関口さんに家まで送ってもらった夜、玄関のドアを開けると同時に母が血相を変えて走り寄ってきた。「どこに行ってたの」「帰って来ないから心配した」「学校にも電話をかけたのに」と、普段ならたいていのことでは驚かない肝っ玉母さんなのに、その時ばかりは別人のように狼狽えていた。
母が連絡を入れたのか、いつもならまだ牛舎にいるはずの父も、祖父までもが心配そうに居間で和奈を待っていた。
「私、志望校を変えたいんさ」
まだ上着も脱がないうちに、和奈は三人を前にそう告げた。気持ちが揺らぐ前に、正直な気持ちを伝えておこうと思ったからだ。一度この町を出てみたい。地元ではなく、他の土地の大学に行ってみようと思う。いまはまだ自分のやりたいことが見つからない。酪農をやりたいのかどうかも、本当はわからない。
和奈の言葉に、母は虚をつかれたような表情で、
「そうだったん?」
と訊き返してきた。「うん……」と和奈が答えると、「だったらもっと前に話してくれたらよかったのに。全然気づかんかった」と泣きそうな顔で、正面から肩をぎゅっと抱きしめてきた。父は「酪農は父さんたちの仕事だから、おまえは好きにすればいいさ」と頷き、祖父は「なるようになるっぺ」と笑ってくれた。
山側から、強い風が吹いてくる。
舞花がかぶっていた麦わら帽子がふわりと浮かび、草の上に落ちる。
両親の許可を得て東京の大学を受験した和奈は、合格通知が届いた翌日、発電所の事務所を訪ねた。関口さんに合格の報告とお礼を伝えたいと思ったからだ。
雪道で途方にくれていた自分を見つけてくれたこと。熱々の中華そばを食べさせてくれたこと。自宅まで送り届けてくれたこと。あの日あなたに出会わなかったら、私の人生はきっと違うものになっていた。そう伝えるつもりだった。
だが、関口さんに会うことは叶わなかった。
手土産と感謝をこめた手紙を携えて事務所を訪れたものの、彼はすでに異動した後だったのだ。
目の前に、二つ目の風車が見えてくる。
今日は点検の日なのか、発電所の所員さんらしき男性二人が軸の下の部分にある扉から出入りしている。
「ママ見て。こっちの風車もきれいだよ!」
陽介の肩の上で、舞花がお尻を浮かす。「おっと」と声を上げ、陽介が舞花の腕をつかみ、体を支える。
「ほんと、きれいだねー」
こんなに優雅な風車が電力を生むことに、科学の不思議を感じる。でも風車がきちんと発電するのは、この施設を管理する人がいてくれるからだということも、大人になったいまはわかる。
十七年前、滝沢橋のバス停辺りで和奈を見つけてくれた関口さんは、風車の点検を終えて帰るところだったのだと後になって気づいた。発電所の所員さんたちが、雪深い冬の間も、月に一度はモービルに乗って巡視点検をしていることを、祖父に聞いて初めて知った。
「きみを助けてくれた関口さんって人がいまどこにいるのか、あそこにいる所員さんたちに訊いてみれば?」
舞花を肩にのせたまま振り返り、陽介が言ってくる。
「いいよ、そんなの。恥ずかしいよ」
「どうして? もしかしたら連絡先を教えてもらえるかもしれないよ。昔と違っていまはSNSとかもあるわけだし、改めてお礼を伝えることだって」
「いいのいいの。二度と会えないからいいってことも、この世にはあるんだって」
「まあ、和奈がこうして生きてるってだけで、中華そば代は無駄じゃなかったってことか」
「そうだよ。無駄じゃなかった」
関口さんに渡せなかった手紙は、いまもまだ手元に残っていた。
十八歳だった自分は、その手紙の中に「私は新しい風になりたいです」と記していた。「この町に吹く風のように、なにかを生み出す人になりたいです」と綴っていた。
手紙はいつか自分の手で、関口さんに渡せたらいいなと思っている。

※この作品は、フィクションです。登場する人物や団体は、実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

酪農の町として知られる葛巻町。「くずまき高原牛乳」は、首都圏でも販売される人気ブランド。
自然豊かな葛巻町は冬には−20℃にもなる厳寒の地でもある。
高原にある葛巻町では、雲の動きも速く、季節も次々に移ろっていく。
葛巻町の広い大空に向かって雄大にそびえる風車。
「くずまき風力発電」の案内板。くずまき第二風力発電所と合わせて、「上外川高原風力発電所」とも呼ばれ、人気の観光地になっているという。
ローターの取り付け位置までの高さは約60m。
標高1,000mを超える上外川地区に並び立つ風車。
変電所にある変圧器。
変電所の遮断機。
風車の点検用出入り口。
変電所内にある監視制御盤。
制服(当時)の左ポケットには「JWIND SERVICE」のロゴ。
タワー内のボトム(底)から見上げた様子。

※本記事の写真は2017年10月24日~26日に撮影したものです。くずまき第二風力発電所は2020年12月運転開始のため、写真には写っておりません。

グリーンパワーくずまき風力発電所
所在地:岩手県岩手郡葛巻町
発電所出力:21,000kW
(1,750kW × 12基)
運転開始:2003年12月

くずまき第二風力発電所
発電所出力:44,600kW
(2,000kW × 16基)
(2,100kW × 6基)
運転開始:2020年12月

Focus on SCENE 信仰の対象でもある縁結びの滝

岩手県葛巻町の北部にある七滝は、眼病に効く滝として古くから信仰を集め、また縁結びの滝として近隣の若い男女の出会いの場にもなっていたという。山中にあるため、現在は訪れる人も少ないが、整備された遊歩道は山の清廉さを味わうには格好の場所だ。周辺に自生するイヌブナは北限のイヌブナとされ、町の天然記念物に指定されている。

文/豊岡 昭彦

写真 / 大橋 愛

PROFILE

藤岡 陽子 ふじおか ようこ

報知新聞社にスポーツ記者として勤務した後、タンザニアに留学。帰国後、看護師資格を取得。2009年『いつまでも白い羽根』で作家に。最新刊は『金の角持つ子どもたち』( 集英社文庫)。その他の著書に『手のひらの音符』、『満天のゴール』など。京都在住。本誌では、38号(2014年7月発行)より、「Home of J-POWER」を執筆。