林地残材を活かす木質ペレットでカーボンニュートラルに貢献

POWER PEOPLE

宮崎ウッドペレット株式会社
宮崎県小林市

森林資源のうち樹木の伐採の過程で出る端材や間伐材などの林地残材は、放置しておくと林業を妨げ、森林荒廃の原因になる。その林地残材を集めて「木質ペレット」に成型。それをCO2排出削減に効果的なバイオマス発電に活用する取り組みがある。
この工場では1日最大約90トンの木質ペレットを製造し、年間最大2万5,000トンの生産能力を有する。その全量が長崎県にあるJ-POWER松浦火力発電所に運ばれ、石炭との混焼により発電に利用される。この混焼によるCO2削減効果は、年間約3万トンにも及ぶ。
工場を運営する宮崎ウッドペレット株式会社は、J-POWERと宮崎県森林組合連合会が共同出資で設立。今春、運転開始から10年が経過した。
「かねて森の厄介者だった残材を、木質ペレットという高付加価値の資源につくり替えることが、当社に課せられたミッション。それが宮崎の豊かな森林を保全し、地域林業の活性化にも資するとなれば、日々の業務にやりがいを感じずにはいられません。現所員14名と小所帯ながら一致協力して取り組んでいます」
そう語る上原隆志所長はJ-POWERより出向している。技術・研究畑でキャリアを重ね、現職になじんだ今では、樹木の光合成によるCO2吸収でペレット燃焼時のCO2排出を相殺する「カーボンニュートラル」の一部始終を見渡す、森と電気の守り人のようだ。
「近く広島県にある竹原火力発電所でも始まる混焼に向けたペレットの品質改善と設備増強。これを無事故・無災害で完遂するのが次の目標です」

取材・文/内田 孝

木の香に包まれた事務棟。隣接する工場で年間8万m3の林地残材を受け入れ、最大2万5,000トンの木質ペレット製造が可能だ。
ペレットをつくる造粒機は工程の心臓部。
貯木場から運び入れた原木を、重機で工場内の木材切削ラインに投入している。
中央操作室で運転状況を監視。スタッフは3人1組の3交代制で、週末を除く24時間操業を支えている。
木質ペレットは直径8mmの円筒形。原木で50%前後あった含水量が10%程度に。

PROFILE

宮崎ウッドペレット株式会社
取締役所長
上原 隆志