大水車の音風景(埼玉県寄居町)
小島 なお
「音のソノリティ」を詠む
回りゆく水車は水の物語その輪の向こう青い秋の空
歌人 小島 なお
ざんざ、ざっざ、ざんざ、ざっざ。汲み上げられた水音は地上を離れ、はろばろと高く運ばれてゆく。
埼玉県寄居町(よりいまち)、「埼玉県立川の博物館」の敷地にそびえる大水車。直径は24.2mで日本一の大きさを誇る木製水車だ。老朽化のために建て替えられ、2019年7月に完成したばかり。観覧車と見紛うような巨大な骨組みには同じ県内の飯能産のヒノキ材が使われている。規則正しく組み合わされた構造の美しさと、木のあたたかみが感じられる同館のシンボルである。
一級河川の荒川が流れるこの地域にはかつて生活や農作業を支えた水車が多く見られたという。当時、実際に使われていたコンニャク水車と精米水車も移築復元されている。
大きな空を背景に大きな水車が回る。人と水との長い物語はこれからも続いてゆく。
※ 「音のソノリティ」第792回放映(大水車の音風景)を観て詠んでいただいたものです。
老朽化により2019年2月より解体工事を行い、新しい水車で再び日本一に。
写真:おはぎさん / PIXTA
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PROFILE
こじま なお
東京都出身。2004年角川短歌賞受賞。2007年第一歌集「乱反射」により現代短歌新人賞、駿河梅花文学賞受賞。2011年第二歌集「サリンジャーは死んでしまった」刊行。居合道初段。
音のソノリティ 世界でたった一つの音
J-POWERは、首都圏などで放送中のミニ枠テレビ番組「音のソノリティ~世界でたった一つの音~」を提供しています。「ソノリティ」とは、フランス語の音楽用語で「鳴り響き」の意味。日本の自然風景から、その場所でしか聞くことのできない音を紹介しています。
日本テレビ系列 毎週日曜日 20 :54 ~ など /BS日テレ 毎週水曜日 20 : 54 ~ (再放送)