送電線をつないでしっかり守る それがラインマンの矜持です。

POWER PEOPLE

電源開発送変電ネットワーク株式会社

建て替えを手がけた東京・府中市内の鉄塔前に立つ倉谷さん。ヘルメットには新会社のロゴが。(写真/斎藤 泉)

今年4月、電気事業法に定める法的分離に呼応し、電源開発送変電ネットワーク株式会社はJ-POWERグループの送変電事業を担う新会社としてリスタートした。
「社名やロゴが変わって現場は気分一新。専門家集団として意思決定が素早く、ベクトルもはっきりした気がします。一方で、不断のエネルギー供給というJ-POWERグループの一員としての使命に何ら変化はありません」
四半世紀に及ぶ社歴が送電一筋の倉谷和也さんは、新会社への思いをそう表現した。発電所と変電所をつなぐ送電設備や、本州と北海道・四国・九州をつなぐ地域間連系設備を舞台に、ライフラインを守る「ラインマン(送電線の建設と保守に係わる技術者)」の矜持がそこに見てとれる。
主な職分は鉄塔や送電線などの設計・施工・保守。日本全体の電力系統の広域的運用に資するため、これまで任地も全国に及んだ。
「送電の現場は人里離れた山間地と、住宅が密集する市街地とでは作業条件がまったく違い、臨機応変の対応が求められます。各現場で得た経験知識、社内外の方々とのつながりや地域との触れ合いから得たものこそが自分の血肉になっていると感じます」
現場を仕切り、チームの士気を高める立場になって思うことの1つは、後進を育み、働きやすい職場環境を整えていくための方策だという。
「人材難の中で施工力の維持継承を図ることは大きな課題。現場にドローンを持ち込み、鉄塔に登らず点検・検査ができるようなIoT技術も活用していければと考えています」

文/内田 孝

只見幹線の住宅密集地における鉄塔建替工事。停電作業で奥側の高い鉄塔(赤白塗装)を建てた後、手前の既設鉄塔(灰色塗装)を解体する。
送電線沿いや直下の土地利用が進む市街地では、様々な制約の中で工事用地を確保し、設計・工法等の工夫が求められる(只見幹線)。(写真/斎藤 泉)
高所作業に伴う墜落事故から身を守る送電用フルハーネス型安全帯を導入。(写真/斎藤 泉)
本州と九州をつなぐ関門連系線の電線張替工事(本州側より)。右手は関門橋。(写真/斎藤 泉)
十勝幹線での鉄塔嵩上工事。

PROFILE

電源開発送変電ネットワーク株式会社
送電部 送電建設グループ
倉谷 和也