鹿島祭り(秋田県湯沢市)
小島 なお

「音のソノリティ」を詠む

藁(わら)と藁擦(こす)れ合う音指先に沁み込む音は古代の続き

歌人 小島 なお

ざっざっざっざっ。ざりり、ざらざら。稲藁をしごいたり、束ねたりする乾いた音が辺りから聞えてくる。
秋田県湯沢市岩崎地区。ここでは毎年春と秋の2回、鹿島祭りが行われる。祭りといっても笛や太鼓などの賑やかなものではなく、鹿島様と呼ばれる神様を「つくりかえる」という珍しい祭り。
鹿島様は高さ4m前後、藁を人ひと形がたにしてつくられる。村境に祀ることで、災いや病気などの侵入を防ぐとされている。鹿島様を解体する人、様々なパーツをつくる人、それを組み上げる人。作業は黙々と進んでゆく。昔からの作業ゆえ、家ごとに誰がどの役割を担うかはあらかじめ決まっているのだという。
古くなった藁は燃やされ、村の人々の祈りが新しいご神体に宿る。農業の精神を受け継ぐ、東北の村の静かであたたかい光景。

※ 「音のソノリティ」第778回放映(鹿島祭り)を観て詠んでいただいたものです。

秋田県湯沢市岩崎地区の鹿島様。

J-POWERは秋田県で、仁賀保高原風力・にかほ第二風力・由利本荘海岸風力発電所を運営しています。また、2019年5月には他社共同事業の山葵沢地熱発電所が運転を開始しました。

PROFILE

こじま なお

東京都出身。2004年角川短歌賞受賞。2007年第一歌集「乱反射」により現代短歌新人賞、駿河梅花文学賞受賞。2011年第二歌集「サリンジャーは死んでしまった」刊行。居合道初段。

音のソノリティ 世界でたった一つの音

J-POWERは、首都圏などで放送中のミニ枠テレビ番組「音のソノリティ~世界でたった一つの音~」を提供しています。「ソノリティ」とは、フランス語の音楽用語で「鳴り響き」の意味。日本の自然風景から、その場所でしか聞くことのできない音を紹介しています。

日本テレビ系列 毎週日曜日 20 :54 ~ など /BS日テレ 毎週水曜日 20 : 54 ~ (再放送)