馬術界に現れた若きヒロイン
神村ひより

Venus Talk

馬術選手 神村ひより

全日本ジュニア馬場馬術競技5連覇という馬術界期待の新星・神村ひよりさん。その実力はもちろん、長身を活かした美しい姿勢とはつらつとした笑顔が、多くの人を惹きつけている。
神村さんが取り組む馬場馬術は、人馬一体となった演技の正確さと美しさを競う競技で、規定演技と自由演技の2種目で採点される。
「馬場馬術は、正解がない競技です。最初は戸惑いましたが、その奥深さにチャレンジしてみたいと思うようになりました」
特に難しいのは、決められた要素(エレメンツ)を独自に組み立て、音楽に合わせて行う自由演技。繊細な手綱捌きに加え、とっさの判断が必要になるのだ。
「フィギュアスケートの選手が、演技の中でジャンプの順序や種類を入れ替えたり、音楽に合うように間を微調整したりするように、馬術選手もその場の判断で、いかに演技の質を高めるか、発想力が問われます。音楽、演技、馬の動きが融合した美しい演技を目指しています」
10年後の神村さん、どれほど上達しているだろうか。国内外の試合で活躍しているだろうか――。ワクワクする未来に向かって、若きヒロインは今日もひたむきな努力を重ねている。

取材・文/ひだい ますみ 写真/竹見 脩吾

よい演技のためには、馬との意思疎通が不可欠。毎日のトレーニングやケアを通じて、コミュニケーションを深めていく。

PROFILE

馬術選手 神村ひより

じんむら ひより
2000年、東京都生まれ。デパート屋上での乗馬体験をきっかけに、小学1年生から乗馬を始める。2015年から5年連続全日本ジュニア優勝。現在、アイリッシュアラン乗馬学校(静岡県御殿場市)に所属。オリンピックなどの国際大会を目指しつつ、ラジオで乗馬の魅力を伝える活動も展開。