谷瀬の吊り橋の揺れ太鼓(奈良県吉野郡十津川村)

「音のソノリティ」を詠む

渓谷に和太鼓響きこの夏からあの夏へ渡す吊り橋に風

歌人 小島 なお

やああー! どっどっどっどっどっ。山々に反響し、谷一帯に野太い掛け声と和太鼓の音が鳴り渡る。
奈良県吉野郡十津川村(とつかわむら)。毎年8月4日「吊り橋の日」に和太鼓の演奏が行われる。舞台は高さ54m、長さ297mの吊り橋の上。この谷たに瀬ぜの吊り橋は、1954年(昭和29年)に建設され、生活用吊り橋として日本有数の長さを誇る。
「危険ですから一度に20人以上は渡れません」と掲げられた注意書きの通り、足を進めるたびに古くなった足場の軋む音がする。演奏が盛り上がってくると、激しい太鼓のリズムに合わせて吊り橋もギイギイと音を立てながら大きく揺れる。この様子から「揺れ太鼓」とも。
和太鼓の音、十津川の水音、山々から聞こえる蝉声、夏風の渡る音、橋の軋む音。人と自然の奏でる音の不思議な調和。

※ 「音のソノリティ」第791回放映(谷瀬の吊り橋の揺れ太鼓)を観て詠んでいただいたものです。

写真提供:十津川村商工会

J-POWERは奈良県で、十津川第一発電所・風屋ダム、池原発電所・池原ダムなどを運営しています。

PROFILE

こじま なお

東京都出身。2004年角川短歌賞受賞。2007年第一歌集「乱反射」により現代短歌新人賞、駿河梅花文学賞受賞。2011年第二歌集「サリンジャーは死んでしまった」刊行。居合道初段。

音のソノリティ 世界でたった一つの音

J-POWERは、首都圏などで放送中のミニ枠テレビ番組「音のソノリティ~世界でたった一つの音~」を提供しています。「ソノリティ」とは、フランス語の音楽用語で「鳴り響き」の意味。日本の自然風景から、その場所でしか聞くことのできない音を紹介しています。

日本テレビ系列 毎週日曜日 20 :54 ~ など /BS日テレ 毎週水曜日 20 : 54 ~ (再放送)