美意識、教養、品格、道徳 もっと誇りたい「日本らしさ」
デビット・スタンリー・ヒューエット

GLOBAL EYE 日本の魅力

古くから欧州などへ輸出され、人気を得てきた日本の陶磁器。そこから影響を受けて発展を遂げた陶磁器ブランドもあるほど、海外に大きな影響を与え、今なお高く評価されている。
陶芸家であり、画家としても活躍するデビット・スタンリー・ヒューエットさんも、日本の陶磁器の美しさに魅了された一人。
「高取焼(福岡県)の器を見て、衝撃を受けました。美術館で鑑賞するような美しさと暮らしの中で使う実用性を兼ね備えているのです。本当に『素晴らしい』の一言に尽きます」
母国米国で、空手や陶芸、日本史を学び、日本に留学したヒューエットさん。以来30年、日本で暮らす中で吸収した「日本らしさ」を絵画で表現したのが、「武士道シリーズ」である。
「サムライの篤い忠義心は、アメリカ海兵隊員の愛国心に通じるものがあります。その上、サムライは詩歌も読めば、茶の湯に親しむ教養もある。その品格には心から敬服します。それを表現しようと思いました」
ヒューエットさんは日本国内をはじめ、ニューヨーク、シンガポール、香港、韓国など様々な地で個展を開催。武士道をはじめ、日本の美意識や長い歴史を持つ文化への興味、関心は驚くほど高い。
「日本人は、古来受け継いできた美意識や道徳心など、『日本らしさ』にもっと自信を持ってもいいと思います。『ジャパン・プライド』を大切にすべきです」
海外から日本に戻ってくると、ホッとするというヒューエットさん。その理由は、日本では礼儀正しくお互いに人に迷惑をかけないという暗黙のルール、社会規範が確立されているからだと考えている。
日本らしさとは、日本の良さとは何か。見つめ直す先に、日本の未来がある。

力強さが印象的な「武士道シリーズ」。赤色は闘志、黒色は規律、金色は品格を表現。赤色を塗ったキャンバスに1200 枚もの金箔を貼り、最後に黒色で仕上げる。今後は、大きな作品を中心に手掛けていきたいという。

取材・文/ひだい ますみ 写真/竹見 脩吾

力強さが印象的な「武士道シリーズ」。赤色は闘志、黒色は規律、金色は品格を表現。赤色を塗ったキャンバスに1200 枚もの金箔を貼り、最後に黒色で仕上げる。今後は、大きな作品を中心に手掛けていきたいという。

PROFILE

画家
デビット・スタンリー・ヒューエット

米国生まれ。空手を習ったことをきっかけに、日本文化やアートに関心を持ち、1988年に初来日。日本の伝統的な絵画技法や陶芸を学ぶ。アーティストとして活躍する一方で、投資銀行員、海兵隊所属など異色の経歴を持つ。現在、長野県軽井沢にアトリエを構え、活動中。