モンゴル国の火力発電所の信頼性を高める

Global J-POWER Spot

電力と温水で厳冬の首都を守る!
ウランバートル第4火力発電所

PROFILE

J-POWER国際営業部
技術室火力タスク 小泉 信愛(こいずみ・のぶちか)

モンゴル最大の発電所の更新に寄与

ボイラ・タービン棟の前に立つ小泉さん。

モンゴル国は中国とロシアに挟まれた東アジア内陸部の国だ。1990年代から民主化が進み、日本との交流も盛んで、日本に親しみを感じる人が70%を超えるという親日国だ。
日本は、92年以降、JICA(独立行政法人国際協力機構)の円借款事業として、ウランバートル第4火力発電所の更新工事に協力。これまで4回の支援により、微粉炭供給システムの改善、温水供給設備の改修などを行って設備更新・効率化を進めてきた。現在は、2015年から始まった5回目の支援で、タービン制御システムや石炭ミル部品の更新などを行っている。J-POWERはこれら5回の支援事業すべてに参加し、コンサルティング業務を行ってきた。今回の支援に参加しているJ-POWER国際営業部の小泉信愛さんに話を聞いた。
「ウランバートル第4火力発電所は、モンゴル国最大の石炭火力発電所で、国内の約65%の電力とウランバートル市の約55%の温水を供給しています。同市は『世界で一番寒い首都』と言われますが、この発電所が供給する温水は家やビルの暖房に使われ、室内は暖かく快適です」
市内は全館暖房が一般的なため、トイレなども暖かく、日本より快適な場合もあるという。

冬のウランバートル第4火力発電所。国内産の石炭を使用し、電力と温水を供給する火力発電所だ。
発電所内にある温水供給設備。

得意のモンゴル語でコミュニケーション

現在行っているのは、発電所の信頼性の向上を図る工事で、J-POWERの社員4人と現地のモンゴル人4人でチームを組み、設計承認支援や施工管理などのコンサルティングを行っている。
「現地の人は英語はあまり話せないので、英語に加えて、私の片言のモンゴル語でコミュニケーションをとっています」
小泉さんは04年からモンゴル語を勉強してきたので、その語学力を試せるのもうれしいそう。モンゴル人スタッフとの交流も円滑で、日本の大相撲の話題で盛り上がることもある。また、日本人スタッフのために、食堂のメニューを日本語に翻訳して喜ばれたそうだ。
契約上、現地と日本を行ったり来たりする出張ベースの仕事になっており、年間延べ5カ月程度を現地で過ごしているという小泉さん。
「郊外に30分ほど行くと手つかずの自然が広がり、休日にはそこでバーベキューを楽しむのがこちらの人の休日の過ごし方ですね。また、郊外に出ると今でも遊牧民はゲル(モンゴル語で家)と呼ばれるテントで生活しています」
今回のプロジェクトは本年7月まで続く予定。小泉さんは「発電効率の向上や電力供給の安定化によって、モンゴル国の社会や経済の安定的成長に寄与したい」と抱負を語ってくれた。

羊の肉を使った肉うどんのような「ゴリルタイシュル」(左)と饅頭(右)。

草原のイメージが強いモンゴルだが、山や谷など起伏の多い土地が多いという。

ウランバートルから30分くらいにある風光明媚な土地。こうしたところでバーベキューを楽しむ人も多い。

同僚の親戚のゲルの前で。小泉さんは前列左から4番目。