阿蘇神社の火振り神事(熊本県阿蘇市)

「音のソノリティ」を詠む

火は奔(はし)る 火はみずからを燃やしつつ奔る 朱色の阿蘇の春闇

歌人 小島 なお

ばわうる、ばおう、ばわうる、ばわう。
縄に括られた萱束(かやたば)の火が、暗闇の中にいくつもの輪を描く。
熊本県阿蘇市にある阿蘇神社では、3月最初の卯の日から次の卯の日までの13日間にわたり、卯の祭が開催され、五穀豊穣を祈る神楽が毎日奏でられる。その中の巳の日から亥の日までの7日間は田作祭(たつくりまつり)と呼ばれ、農業神が妃神を娶る婚儀を執り行う。田作祭の4日目にあたる申の日には、妃神を歓迎し、祝うため、氏子らが縄の先に括った萱束に火をつけて振り回す火振り神事を行う。
1,200個を超える松明の火が阿蘇の暗闇を照らし出す。遠心力を伴った火は、激しく燃えながら、風を孕みながら音を立てて奔る。
これら一連の阿蘇の農耕行事は国の重要無形民俗文化財に指定されている。

※ 「音のソノリティ」第565回放映(阿蘇神社の火振り神事)を観て詠んでいただいたものです。

火振り神事には見物客も参加できる。(写真:東田裕二/アフロ)

J-POWERは、熊本県で風力発電施設「阿蘇にしはらウィンドファーム」「阿蘇おぐにウィンドファーム」を運営しています。

PROFILE

こじま なお

東京都出身。2004年角川短歌賞受賞。2007年第一歌集「乱反射」により現代短歌新人賞、駿河梅花文学賞受賞。2011年第二歌集「サリンジャーは死んでしまった」刊行。居合道初段。

音のソノリティ 世界でたった一つの音

J-POWERは、首都圏などで放送中のミニ枠テレビ番組「音のソノリティ~世界でたった一つの音~」を提供しています。「ソノリティ」とは、フランス語の音楽用語で「鳴り響き」の意味。日本の自然風景から、その場所でしか聞くことのできない音を紹介しています。

日本テレビ系列 毎週日曜日 20 :54 ~ など /BS日テレ 毎週水曜日 20 : 54 ~ (再放送)