歴史と文化を楽しむ話芸 講談のおもしろさを伝えたい

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起源は戦国時代まで遡ると言われる「講談」。釈台と呼ばれる小さな机を張扇で叩いて調子を取りつつ、軍記物や政談など歴史的な物語を聞かせる話芸である。戦後、多くの伝統芸能と同様に衰退の危機にあったが、近年、伝統的な演目に加え、国際的な事件や経営論など現代的な題材が増えており、「注釈つきだから、わかりやすく学べる」と人気復活の兆しが見えている。
そんな講談界で今、注目されているのが、米国出身の講談師・旭堂南春さんである。
「初心者用のイベントで初めて講談を知った時、講談とはなんと素晴らしいパフォーミング・アーツ(語り芸)だろうと驚きました。もともと興味のあった日本史をより楽しく、より深く学べると夢中になったのです」
特に関心があるのは幕末で、好きな歴史上の人物は坂本龍馬だという南春さん。龍馬を題材とする講談「四天王寺の果し合い」という演目には、つい力が入るという。
「高知新聞の取材の折に、『いつか、龍馬のふるさと土佐・高知で講談を披露したい』と夢を語ったら、早速オファーをいただきました。龍馬ファンの皆様の前で高座を務めさせていただき、感激しました。龍馬像の立つ桂浜は、個人的にも大好きなスポットです」
講談のため、さらなる日本文化探求のために、刀について知るべく居合道を学んだ南春さん。すると、日本独特の呼吸法や力の使い方に気づいた。
「居合では、初めに息を吐き切ります。息を吐く、すなわち体の力を抜くことが、しなやかな体の動きにつながるのです。そのため、余計な力を入れなくても、スパッと切れます。講談も同じで、まず息を吐くことで豊かな声が出るため、奥深い表現が可能になります」
南春さんは、これからも講談を通じて、文化と歴史を伝えていきたいと意気込む。その語りにじっくり耳を傾ければ、私たちが忘れかけている大切なものに気づかされるに違いない。

取材・文/ひだい ますみ 写真/斎藤 泉

高座では軍記物、時代物を熱演する一方で、新作も手掛けてみたいと抱負を語る。通常の高座のほかに、お客さんとともに講談を学ぶスタイルの公演や英語講談なども行う。着物は芸名にちなんだ桜、梅など春らしい柄の着物が多い。

PROFILE

講談師
旭堂南春(きょくどうなんしゅん)

米国出身、大阪府在住。上方では初の外国人女性講談師。ジョージア州立大学卒業後、英語講師をしながら旭堂南陵氏に入門し、修業に励む。2013年、初舞台を踏む。2017年、日本の永住権取得、本格的に講談師としての活動を開始。趣味は、無双直伝英信流居合道、着物の着付け、日本史の勉強。