子どもたちを科学へ誘うリケジョの星
五十嵐 美樹

Venus Talk

科学のお姉さん 五十嵐 美樹

暮らしの中にある科学、そのワクワクする楽しさを子どもたちにもっと知ってもらいたい――。
そんな思いを胸に、「科学のお姉さん」こと五十嵐美樹さんは科学ショーを通したコミュニケーションに取り組んでいる。
科学の魅力とは? 産業に活かす理系女子(リケジョ)の視点とは?
科学を軸に人生を切り拓く五十嵐さんの素顔を追う。

「科学のお姉さん」として、多くの科学ショーやイベントを手掛ける五十嵐美樹さん。現役の東大大学院生として、暮らしの中にある科学や、科学と社会との結びつきといった「科学コミュニケーション」を学ぶ一方で、子どもたちに科学のおもしろさを伝える活動を展開している。
「中学生の頃、虹をつくる実験を見て、科学に興味を持ちました。ショーを通じて、科学のおもしろさにふれて、電子レンジや照明など、身近なものと科学の結びつきに気づいてほしいです」
商業施設や公園などで科学ショーを開催する際には、得意のダンスを取り入れている。
「踊りながら生クリームをシェイクしてバターをつくったり、薬品を混ぜ合わせたり……。人目を引くパフォーマンスが、科学に興味を持つきっかけになればうれしい」
ダンスは感性、科学は論理と対極的な取り合わせだが、好きなことに全力を傾けて生きる五十嵐さんの中では調和しているのだ。
もともと工学を学び、身の回りの暮らしや社会と関わるものづくりに関心があるという五十嵐さん。理系女子をいかに産業界につなげるか、「こういうモノがあったらいいな」という女性の視点をものづくりにどう活かすか、理系女子を応援する活動にも力を注いでいる。
「自身のイメージを一言で表すと、C(炭素)ですね。Cはダイヤモンドや炭など、様々な形状や特徴を持つ元素です。この先、磨かれて光るダイヤモンドになれるのか、原石のままか……。挑戦の毎日ですが、とても楽しいです」
大好きな科学に携わる人生を選び、精力的に活動する五十嵐さん。その瞳は、すでにダイヤモンドのように輝き、科学を志す後輩たちを導く光となっている。

取材・文/ひだい ますみ 写真/竹見 脩吾

実験教室やショーは、日本各地で開催。その様子はユーチューブでも公開している。
「海外の科学教育にも関心があります」と五十嵐さん。米国・カリフォルニアでのワークショップも開催予定。

PROFILE

科学のお姉さん 五十嵐 美樹

いがらし みき
1992年、東京都生まれ。上智大学理工学部機能創造理工学科卒業(物理学専攻)。2018年4月より東京大学大学院にて科学コミュニケーションを専攻。「科学のお姉さん」として、実験教室や科学ショーを主催。また、大企業エンジニア職での経験を活かし、理系女子キャリアイベントの講師も務める。「理系女子未来創造プロジェクト」理事。