最先端&大規模な洋上風力発電に挑む

Global J-POWER Spot

大型の火力発電所に相当する大規模風力ファーム
トライトン・ノール洋上風力発電所

英国で進む地球温暖化対策

英国は、欧州の北西部に位置し、その国土面積は日本の約3分の2、人口は半分の約6,600万人(2017年現在)の島国だ。日本が明治時代に立憲君主制の参考にしたことや、日英同盟を結んだことなど、日本に馴染み深い国であり、日本からも1,000社以上の企業が進出している。
英国は、東部に広がる北海で石油や天然ガスが産出されるため、1990年代までは石油や天然ガスの輸出国だったが、年々生産量が減少、天然ガスは04年に、原油は05年に純輸入国となっている。
こうしたエネルギー事情もあり、英国は地球温暖化対策として、02年に電力会社に一定割合の再生可能エネルギー由来の電力の購入を義務づける制度(Renewables Obligation)が導入され、10年には固定価格買取制度(Feed-in Tariff, FIT)、15年には差額決済契約制度(Contract for Difference, CfD)を制定して、電力の再エネ化を推進してきた。

洋上風力案件に投資するJ-POWER

こうした法律の後押しもあり、英国では風力発電所、特に洋上風力発電所の建設が急ピッ チで進められている。欧州は世界の洋上風力設置容量の90%以上を占めており、中でも英国北海海域は最も導入が進んでいる地域で、14年の導入実績では世界1位の英国、2位のデンマーク、3位のドイツなど北海周辺国が洋上風力をリードしている。
洋上風力は、陸上の風力発電に比べ、さえぎる物がないため風が安定して吹くこと、巨大な資材の運搬が比較的容易なため大規模な風車が建設でき、発電効率がいいことなど、周辺に海洋がある国にはメリットが大きく、日本では今後本格導入が期待される分野だ。
J-POWERは18年に、洋上風力先進国である英国の新規プロジェクトに持分25%の投資を行った。本プロジェクトは、発電容量86万kWという、大型の火力発電所に相当するようなTriton Knoll(トライトン・ノール)洋上風力発電所を英国東部の北海上に建設するもので、その概要は、単機容量9,500kWの風車を90基も備える大規模なものだ。運転開始は21年を予定しており、J-POWERは、建設段階から本件に参画することによって得られる洋上風力事業の建設・保守・運転に関する知見を活かし、再生可能エネルギー事業への取り組みを加速する予定だ。
なおJ-POWERは、日本国内では福岡県北九州市響灘地区において、他社と共同で洋上風力事業の事業化調査を進めている。