地域とともに清流を守りつつ電力の安定供給に努めています。

POWER PEOPLE

北山川電力所尾鷲事務所(三重県尾鷲市)

 

水力発電は、ダムからの落差を利用して水車を回し発電するが、水質に配慮してダム湖内のどの深さから取水するかを変えていることまではあまり知られていない。天候によって河川環境は常に変化し、ダム湖内でも水質が一定ではないからだ。
J-POWER尾鷲第一・第二発電所では2つのダムで水質管理を行っているが、特筆すべきはその徹底ぶりだ。第一発電所の坂本ダムでは、比較的濁りの少ない澄んだ層を探り当て、そこから取水できるようにゲートが動く表面取水設備が設置されており環境に配慮した発電が行われている。
「そこまでダムの水質にこだわるのは、何よりも下流域での漁業や住民の生活に与える影響を限りなく少なくしたいからです。特に、日本屈指の清流として知られる又口川や銚子川の水系にある発電所なので、私自身、環境保全への意識を全開にして、日々の業務に取り組んでいます」
入社5年目の福本純大さんは、水力発電所の土木職として新潟県と静岡県の電力所を経て、昨夏、郷里の実家に近い当地に赴任した。緊迫するダム操作も経験した。仕事にも慣れグループ会社のスタッフを束ねる立場や責任を負う場面も増える中で、自らの成長に手応えを感じる日々だ。
地域共生への意気込みは水質管理にとどまらない。尾鷲湾の漁業関係者と日頃からコミュニケーションを取り、発電運用の調整なども行っている。
「例年5月、地元小学校の校外学習として、銚子川の稚アユ放流と発電所見学会に当社も協力しており、今年初参加の私も楽しみにしています」

取材・文/内田 孝 写真/斎藤 泉

降雨を予測しダムの水位や流入量、周辺域の雨量や河川水量などを監視する。
クチスボダムの水は取水口、水圧鉄管を経ておよそ3km先の尾鷲第二発電所へ送られる。
ダムや貯水池などの目視点検も土木職の任務。ライブカメラや各種センサーを用いた監視・制御システムをマンパワーが支える。
三重県出身の福本さん、当地に赴任して郷土愛と土地勘を味方に奮闘中だ。
スタッフ間の打ち合わせにも結束の固さがうかがわれる。

PROFILE

J-POWER西日本支店
北山川電力所尾鷲事務所
福本 純大