石炭の安定調達で日本の電力を支える

Global J-POWER Spot

資源大国オーストラリアで炭鉱開発に参画

鉱業が主要産業のオーストラリア

オーストラリアは、人口約2460万人(2017年6月)、日本の約20倍の769万2024km2の国土面積を持つ大陸国家だ。1990年代から堅調な経済成長を続け、17年度の実質GDP成長率も約2.0%の伸びを見せている。主要産業は、GDPの約9.5%を占める鉱業で、鉄鉱石や石炭の輸出が好調。世界的な資源ブームにも支えられ、同国の経済成長を支える大きな存在となっている。
オーストラリアは親日国としても知られ、新婚旅行や留学で、日本人にとって人気の渡航先のひとつである。
このようなオーストラリアにJ-POWERが現地法人J-POWERオーストラリアを設立したのは1981年(昭和56年)。その目的は、70年代の石油ショックを経て、日本国内で発電に使用する石炭を安定的に調達するためだった。

3つの炭鉱が操業中

J-POWERは、70年代から海外の石炭を輸入して発電に使用しており、長崎県西海市には日本初となる海外炭専用の松島火力発電所(81年運転開始)を建設していた。そのため、大規模発電所に見合う量の燃料を確保することを目的として、日本への輸出専用の炭鉱開発を計画していた。
J-POWERが82年に最初に投資したのがブレアソール炭鉱。年間最大1,200万トンの生産を見込んだ巨大炭鉱だ。その後、クレアモント、ナラブライ、モールス・クリークの権益を獲得、現在は3つの炭鉱が操業している(ブレアソール炭鉱は12年に終掘)。
オーストラリアの石炭の特徴は、不純物が少なく高カロリーな高品位炭であること、また露天掘りが可能なため、価格も比較的リーズナブルなことだ。同国の石炭の生産量は、世界4位であるものの、輸出量は世界1位。その最大の輸出先は日本となっている。

将来を見据えた開発を

同社の今後について、J-POWERオーストラリアの寺田強社長は次のように語る。
「クレアモント炭鉱は26年に終掘する予定になっていますので、燃料の安定調達のためにも、新たな炭鉱を開発したいと考えており、採掘した石炭を積出港まで運ぶ鉄道路線などのロジスティックスも考慮しながら、新たな炭鉱の選定を進めています。さらに石炭のガス化、二酸化炭素の分離・回収や水素の製造など、得意としている石炭をクリーンに使う技術開発で、オーストラリアと日本が協力しながら、低酸素社会に貢献していきたいと思います」

現在、当社の石炭調達の主力となっているクレアモント炭鉱(クィーンズランド州)。
モーリス・クリーク炭鉱は約40年以上操業する予定(ニューサウスウェールズ州)。