ブッポウソウの子育て
小島 なお

「音のソノリティ」を詠む

げッげッと柘榴(ざくろ)のような声の色ブッポウソウは子育ての季(とき)

歌人 小島 なお

げッげッげッげッ。美しい見た目とギャップのある低く濁った鳴き声。
長野県天龍村。5月初旬、村役場の屋上の巣箱で子育てが始まる。鳥の名はブッポウソウ。名前の由来は鳴き声という。ところが、昔の人が「ブッ(仏)ポウ(法)ソウ(僧)」と聞こえたというその声は実は別の鳥(コノハズク)の鳴き声だった。つまり勘違いから生まれた名前なのだ。ブッポウソウは村鳥でもあり、県の天然記念物にも指定されている貴重な渡り鳥。近年、全国的に個体数が減少しており、村では20年前から毎年巣箱を用意し、繁殖をサポートしている。巣箱にはカメラが設置され、役場のモニターでライブ映像を見ることもできる。
天敵から雛を守るために威嚇する鳴き声。巣立ちの時期に雛を巣の外へ誘う鳴き声。天龍村の空が騒がしくなる季節である。

※ 「音のソノリティ」第633回放映(ブッポウソウの子育て)を観て詠んでいただいたものです。

写真:Yasuki Nakajima/アフロ

天龍村では、村内に巣箱を設置し繁殖を助けている。J-POWERは、同村で早木戸発電所を運営している。

PROFILE

こじま なお

東京都出身。2004年角川短歌賞受賞。2007年第一歌集「乱反射」により現代短歌新人賞、駿河梅花文学賞受賞。2011年第二歌集「サリンジャーは死んでしまった」刊行。居合道初段。

音のソノリティ 世界でたった一つの音

J-POWERは、首都圏などで放送中のミニ枠テレビ番組「音のソノリティ~世界でたった一つの音~」を提供しています。「ソノリティ」とは、フランス語の音楽用語で「鳴り響き」の意味。日本の自然風景から、その場所でしか聞くことのできない音を紹介しています。

日本テレビ系列 毎週日曜日 20 :54 ~ など /BS日テレ 毎週水曜日 20 : 54 ~ (再放送)