ぶくぶく茶(沖縄県那覇市)
小島 なお
「音のソノリティ」を詠む
ぶくぶくの泡のなかなる琉球の王朝両の手につつみ飲む
歌人 小島 なお
ジャパジャパジャパジャパ。大きな鉢の底に大きな茶筅(ちゃせん)を振る。白く泡立った気泡が次第に小さくなり、滑らかになっていく。
沖縄県那覇市にある世界遺産、識名園(しきなえん)は沖縄を代表する庭園。今回のロケではここで琉球茶道ともいわれる「ぶくぶく茶」を点(た)てていただいたという。琉球王朝で賓客をもてなす時に振る舞われていたお茶。直径約30cmの大きな木鉢と大型の茶筅で全員分のお茶を点てる。煎(い)った白米を煮出した湯とジャスミン茶を混ぜて泡立て、その滑らかな泡を玄米を煎じた湯の上にのせて一緒に飲む。豊かな泡が立つのは、琉球石灰岩を通って湧き出た硬水を使うためだ。
お茶を点てる音が静かな庭園に響く。300年以上前の王朝の人々もきっと同じ音に耳を傾けながら、風土に恵まれた琉球王国の繁栄をふかぶかと味わっていたことだろう。
※「音のソノリティ」第1049回放映「ぶくぶく茶」を観て詠んでいただいたものです。J-POWERグループは沖縄県で石川石炭火力発電所を運営しています。
※ 識名園では普段、ぶくぶく茶の喫茶などは行っておりません。


PROFILE
こじま なお
東京都出身。2004年、角川短歌賞受賞。2007年、第一歌集『乱反射』により現代短歌新人賞、駿河梅花文学賞受賞。2020年4月、第三歌集『展開図』刊行。居合道三段。
音のソノリティ 世界でたった一つの音
J-POWER は、首都圏などで放送中のミニ枠テレビ番組「音のソノリティ~世界でたった一つの音~」を提供しています。「ソノリティ」とは、フランス語の音楽用語で「鳴り響き」の意味。日本の自然風景から、その場所でしか聞くことのできない音を紹介しています。
日本テレビ系列 毎週日曜日 20:54 ~ など /BS日テレ 毎週水曜日 22:27 ~ (再放送)