運用開始30周年の本四連系線に息づく送電技術を未来に伝える。
POWER PEOPLE
J-POWER送変電 本四連系線(岡山県倉敷市)

本州・四国間を50万Vの送電線で結ぶ本四連系線が、2024年夏、運用開始から30周年を迎えた。広域で電力を融通する地域間連系線は災害に備えた電力インフラの強靱化や、再生可能エネルギーの利用拡大を見据え、その重要性を増している。
本四連系線は岡山県と香川県の両県をつなぐ瀬戸大橋に添架された橋梁区間と、途中の島嶼(とうしょ)区間、そして鉄塔を介した地上区間で構成される。橋梁区間は橋上の道路・鉄道に沿ってケーブルが敷かれ、島嶼区間はケーブルを地中に潜らせるなど、様々な技術が集められた設備だ。
「例えば橋梁部分は気温変化による熱伸縮や自動車や列車の走行により、橋の両端で最大1.5mの伸縮と、水平・垂直方向に約1度のたわみが想定されます。それに対応しうる送電ケーブルには幾重にも工夫を凝らしてあるため、日常の保守点検にも慎重を期す必要があるのです」
そう話す入社4年目の鈴木武望さんが立つ現場(上記写真)は、与島(よしま)にある橋脚付近で地中線から橋梁へ垂直にケーブルを引き上げる重要な地点。このケーブルは電気が通る導体を絶縁紙などで覆った複雑な構造で、特にデリケートなため、日常的に保守点検を行っている。
「学生時代から送電の仕事に就きたかった自分にとって、今の仕事はとてもやりがいを感じます。手探りでコツを探していく日々ですが現場の先輩方が親身に導いてくださっています」
先人の築いた技術や精神を受け継ぎ、さらに磨きをかけて未来へ伝えたい。熱いその思いに満ちている。
取材・文/内田 孝 写真/斎藤 泉






PROFILE
電源開発送変電ネットワーク株式会社
岡山送変電事業所 送電グループ
鈴木 武望(たくみ)