オーストラリアの再エネ促進に貢献
オーストラリア連邦 Vol.3
Genex Power Limited

Global J-POWER ―世界とともに―

Genex Power Limited
オーストラリア連邦

工事中のキッドストン揚水発電所の地下。

再エネ企業Genex社を子会社化

ボルダーコム蓄電所に設置された蓄電池設備。
Genex社との打ち合わせ。左中央が北村さん。
キッドストン太陽光発電所を上空から撮影。

J-POWERは1981年、オーストラリアに現地法人J-POWER Australia Pty. Ltd.を設立。同社を通じ同国内の炭鉱へ投資を行うことで、日本への安定的な石炭供給を担ってきた。一方、地球温暖化が顕在化する中、同国でも再生可能エネルギー(以下、再エネ)の大量導入が進んでいることを受け、J-POWERは2020年に再エネ発電事業を担う現地法人JP Generation Australia社(以下、JPGA社)を設立。2021年には同国の再エネ企業Genex Power Limited(以下、Genex社)の株式の一部を取得し、Genex社の太陽光や風力、揚水発電などのプロジェクトに参画してきたが、2024年7月にGenex社の全株式を取得し、完全子会社化した。

子会社化の経緯についてGenex社のM&Aを担当した国際営業部再生可能エネルギー開発室豪州タスクの北村由里さんにお話を聞いた。

「2024年7月からJPGA社に出向し、現在はGenex社統合の最終段階であるPMI(Post Merger Integration)を担当しています。J-POWERは、2018年頃から世界各地で揚水発電所の建設予定地を探していましたが、その白羽の矢を立てたのが揚水発電所建設を計画していたGenex社でした」

オーストラリアでは30年以上、揚水発電所がつくられていなかったため、J-POWERの知見が活かせるとの判断から、2021年にGenex社の普通株式10%を取得。揚水発電所の建設・運営をサポートする技術支援契約を結び、エンジニア1名をGenex社のブリスベン事務所に常駐させてきた。

「そのような中、2022年に他社によるGenex社買収の話があり、それをきっかけとして、同国で再エネ事業を継続するなら、その足がかりとしてGenex社を子会社化した方がよいのではということになりました」

2023年の夏から、北村さんをはじめとした豪州タスク全体で買収プロジェクトを推進。翌年7月に全株式買収が完了した。

「一番大変だったのは、Genex社の株主たちの承認を得ることで、75%以上の承認を得た時は達成感を感じました」と北村さんはその喜びを語る。

キッドストン揚水発電所の空撮写真。写真奥にキッドストン太陽光発電所が見える。

現地でも注目される揚水発電とGenex社

揚水発電所の建設現場を視察するメンバーと北村さん(左端)。
子会社化完了直後のシドニー湾で。右端が北村さん。
J-POWER Australia社での懇親会に参加する北村さん(写真左手前)。

Genex社が開発中のキッドストン揚水発電プロジェクトは、閉鎖された金鉱山を活用するという世界初の試み。揚水発電は、2つのダム湖の間で水のやり取りを行うことで余剰電力の吸収と不足電力の供給を担う「ウォーターバッテリー」として機能し、発電容量が不安定な再エネの欠点を補うものとして、世界的にも注目されている。

「Genex社は電力会社としては大きくはありませんが、揚水発電所を持つ唯一の再エネ事業者としてオーストラリア国内でも注目されています。ここで学んだことを活かして、J-POWERの"BLUE MISSION 2050"の目標である『2050年カーボンニュートラル』達成に貢献していきたいと思います」