タイ国最大のGTCC発電所で電力安定供給に貢献
タイ王国 Vol.3
ノンセンガス火力発電所

Global J-POWER ―世界とともに―

Gulf JP NS Power Plant
タイ王国 Vol.3

タイ国最大のガスコンバインドサイクル発電所

ノンセン発電所の全景。手前の蒸気が出ている設備は冷却塔。
蒸気タービン発電装置。
青空にそびえる煙突とボイラー。

J-POWERがタイ国で出資している3つのIPP(Independent Power Producer : 独立系発電事業者)の1つにノンセンガス火力発電所がある。同発電所は2014年に運転を開始したタイ国最大のガスコンバインドサイクル発電所。投資管理を行うGulf JPで、この発電所を担当する冨江竜哉さん(取材時)にお話を聞いた。

「ノンセン発電所は、ガスタービン発電と蒸気タービン発電の2つの装置で構成するコンバインドサイクル(複合発電方式)を採用する高効率の発電所です。出力160万kW(80万kW×2基)で、タイ国最大であるとともに、タイ国を南北に貫く電圧50万Vの主要送電網に直接接続されています。つまり、電力の安定供給という観点で、この国の主要電源として非常に重要な設備であるということです」

さらに、同発電所は、農村地帯にあることも大きな特徴だという。

「一般的に発電所は、電力の消費地やエネルギー源の産地近くに建設されることが多いのですが、この発電所は農村の中にあります。周辺の方々の理解と協力が大切で、そのために施設に隣接したエリアに誰でも出入り自由な2haの農園を運営しています」

この農園は、住民への憩いの場の提供、有機農法等のレクチャー、収穫祭の開催などを通じて、地域住民との交流を深めている。

ガスタービン発電装置。ガスタービン発電装置から発生する高温排気をボイラーに導いて熱回収を行い、ボイラーで発生した蒸気で蒸気タービンを回し発電する。熱効率に優れた発電方式。

文化の違いを理解すること

発電所長のコゥレークさんと冨江さん(左)。
発電所までの行程で食べたレストランのランチ。
デスク横にタイの文字表を貼って、日々タイ語を勉強している。

冨江さんの主な業務は、発電所の運営を管理し、トラブルがあれば状況を確認し、復旧に向けたアクションプランを検討すること。幸いなことに運転開始以降、順調に稼働している。

「早期の修復・復旧などの目的を達成するためには、相手の置かれた立場や文化的な背景などを理解した上で、円滑なコミュニケーションを図ることが重要です。そのためには事前の準備と丁寧な対応、感謝の心が大切だと思っています」

「微笑みの国」といわれるタイの人たちは、怒ることが少なく、感情を表に出さないといわれる。

「個人差はありますが、そこは日本人と似ていますね。さらにお互いに母国語でコミュニケーションしないので、伝わりにくいところはあります。上から目線で言わないこと、普段からの良好な関係を醸成しておくこと。また、質問する際は受け手が対応しやすいよう、選択肢を与えることが大事だと思って活動しています」

そのために、冨江さんはタイ語の勉強も欠かさないだけでなく、日本の代表でもあるという意識で丁寧に現地の人に接しているという。

もうすぐ日本に帰国するという冨江さんの専門は火力発電。温室効果ガス排出の観点から火力発電に対して厳しい目が向けられているのを感じるが、電力の安定供給のためにはまだまだ必要な技術だと思っている。

「これからも様々なエネルギー源をベストミックスしながら、安定的な電力供給と地域環境の保全の両面で日本や世界の国々に貢献していきたいと思っています」

農場で仲のいい若い作業員と。2人の右奥に発電所の煙突が見える。
発電所の主要メンバーと。左から4人目が冨江さん。