「攻める大和撫子」が追究する最善手
山口 恵梨子

Venus Talk

将棋女流棋士 山口 恵梨子

「棋譜の通りに駒を動かし、一局を再現する『棋譜並べ』では、『玉将』の駒を使う挑戦者の気持ちで研究しています」と山口さん。

「攻める大和撫子」の異名を持つ将棋女流棋士・山口恵梨子さん。将棋には6歳で出合った。

「父から将棋を教わり、一緒に将棋イベントに行きました。そこで、先崎学先生(現九段)の十面指し(同時に10人を相手に指す将棋)に衝撃を受け、女流棋士になりたいと思いました」

多くのおじさんたちに可愛がってもらった将棋道場時代を皮切りに、女流棋士に成長していく同世代の仲間たちに刺激を受け、高校2年生で念願の女流棋士となった山口さん。20代は、将棋の普及活動に力を注いだ。30代となった今、どうしたら勝てるのか、将棋の研究に専念し、対局に臨んでいる。

「素晴らしい将棋ソフトも開発されていますが、将棋はまだまだ答えが見つかっていないゲームです。今の実力、自身の研究量で、この局面での最善手は何か、常に考えています。将棋は、研究量がすべてなので」

一日7~8時間をかけている詰将棋や棋譜並べ、パソコンソフトでの研究などで培った実力が、粘り強い攻めとなり、逆転勝ちを呼び込む。

世代を超えて愛される人柄と将棋の最善手を追究する熱意。知れば知るほど、山口さんを応援したくなるに違いない。

取材・文/ひだいますみ  写真/竹見脩吾

幅広い世代に愛されている将棋。次世代への継承のためには、「子どもがのびのびと楽しめる環境づくりが大切だ」という。

PROFILE

将棋女流棋士 山口 恵梨子

やまぐち・えりこ
1991年、鳥取県出身。日本将棋連盟所属の女流棋士・女流二段(堀口弘治七段門下)。2003年、女流育成会に入会。2008年、女流棋士としてデビュー。テレビやネット番組への出演、ゲームソフトの制作にも関わる。漫画家さくらはな。さんとの共著も。