東・西日本で電気の橋渡しをするネットワークの要を増強中!!

POWER PEOPLE

東西連系増強建設所(静岡県静岡市)

発電した電気を消費地に送り届ける送電網の増強計画が各地で進む。災害などで電力不足に陥った地域に、周辺から電気を送って補う電力融通に加えて、近年再生可能エネルギー由来の電気を消費地に送る送電需要が増し、広域ネットワークの再整備が急がれるためだ。

とりわけ日本の東西で周波数の異なる電気をやり取りする上で、その分岐点にある周波数変換設備が要の役割を果たす。J-POWERグループが保有する佐久間周波数変換所もその1つで、そこから両方向に電気を運ぶ佐久間東幹線・西幹線を含めて、従来の30万kWから60万kWへ設備容量を倍増させるための増強工事が進行中だ。

「この工事は、既設線を活用しながら行う必要があるため、多くの区域では鉄塔を新設・架線してから既存の鉄塔と送電線を撤去します」

そう語るのは松野賢太朗さん。入社から17年、送電職としての基礎から測量、設計、建設などの現場で経験を重ね、今回初めて工区担当としてプロジェクトを推進する重責を担う。

「現場は平坦な丘から急峻な傾斜地まで変化に富む上、用地確保などの難題も山積しています。ただ、そこに最善のルートを見つけて送電線を通す作業は容易ではない分、やり遂げた時の達成感もひとしおですね」

がっしりした体躯は、休日に楽しむロードバイクと筋トレの賜物とか。後輩社員とともに、坂道を迷いなく進む後ろ姿に、送電の匠の風格が漂う。

「不断のエネルギー提供を使命とするJ-POWERグループで、日本を1つに結べるこの仕事を誇りに思います」

取材・文/内田 孝 写真/斎藤 泉

既設の272号鉄塔では、増強工事中の60万kW の送電線(左側)と30万kW の送電線(右側)の境目が確認できる。
山間深くの工事ヤードに向かう時は「原野を開くような高揚感」があるという。
野外作業時には距離計、ペンライト、ハチスプレー、冷却剤などの安全装備品が欠かせない。
長野県出身の松野さんは幼少期から鉄塔や送電線が好きで、念願かなって現職に就いた。
佐久間周波数変換設備の増強に伴う佐久間東幹線の工事計画を話し合う。

PROFILE

電源開発送変電ネットワーク株式会社
東西連系増強建設所 送電グループ
松野 賢太朗