最先端の電力自由化市場で勝ち抜く
アメリカ合衆国Vol.1
J-POWER USA Development Co., Ltd.

Global J-POWER ―世界とともに―

J-POWER USA Development Co., Ltd.
アメリカ合衆国Vol.1

ダイナミックに変化する米国電力市場

2010年にカリフォルニア州で運転開始したオレンジ・グローブ発電所。

2005年1月、J-POWERは米国法人J-POWER USA Development社(以下、J-POWER USA)を設立し、IPP(独立系発電事業者)事業投資に向けた調査・開発を開始した。翌06年5月には第1号案件としてテナスカ・フロンティア発電所の一部権益を取得し、その後米国有数の保険会社ジョン・ハンコック生命保険会社との合弁会社J-POWER USA Generation社を通じて、これまでに11発電所の権益を取得・保有している。2022年4月に営業運転を開始するジャクソン発電所(120万kW)を合わせると、J-POWER USAの持分出力は合計320万kWに達する予定だ。

J-POWER国際業務部プロジェクト管理室で米国を担当する総括マネージャーで、J-POWER USAの上級副社長として米国駐在の経験もある山下悟さんに話を聞いた。

「米国の電力市場は、自由化が進んだ市場のため、設備を保持・運営していれば利益が確実に得られるというわけではありません。日本のノウハウをそのまま活かすのではなく、事業環境や市場の変化を常にアップデートして、短期・中期・長期の観点から最適な打ち手を考えていく必要があります」

実際、J-POWER USAが事業を開始した当時は、米国全体で石炭火力発電が設備出力の約4割を占めていたが、2000年代後半のシェール革命により、天然ガスの価格が下がってからはガス火力発電が主流になった。その後、再生可能エネルギーに対する財政面での補助制度が拡大した近年は、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーへの投資が増えている。

J-POWER USAが入るビル。
シカゴのシンボル的存在で観光名所のシカゴ劇場。
ペンシルバニア州にあるウェストモアランド発電所。

事業環境の変化を的確に捉え対応する

J-POWER USAは、中西部の大都市シカゴ郊外のシャンバーグ市にある。ハブ空港であるシカゴ・オヘア国際空港からも近いため、日本との行き来や米国内の移動にも便利で、日系企業も多く立地する場所だ。設立当初は数人だった社員も、事業拡大に伴い、現在は45人。日本からは事務職3人、技術職7人の計10人が出向しており、米国で採用した社員35人とともに業務を行っている(2022年4月現在)。

山下さんは、18年から約3年間現地に駐在。日本とのつなぎ役として、本社の状況や考え方をJ-POWER USA内に共有するとともに、投資の承認を得るための資料作成をサポートしたり、ローカルスタッフのマネジメントなどを行ったりした。この経験により「米国での現場感覚」が得られたため、現在の仕事でも「米国で実際に起きていること」が想像できるようになり、解決に向けた現実的な道筋が見えるようになったという。

「米国で起きたことが5年後には日本でも起きると言われています。米国の電力市場は変化のスピードが激しいですが、電力需要そのものは底堅いため、変化の兆しを的確に捉え、着実に収益を上げていきたいと思います。そして、そこで得た経験や知見を日本での事業にも活かし、日本本社とJ-POWER USA双方の価値を高めていきたい」

と力強く語ってくれた。

エルウッド発電所(イリノイ州)は、J-POWER USAの発電所の中で最大の135万kWの出力。
山下さんが米国駐在中に使用していた個室。
ジャクソン発電所(イリノイ州)の起工式(2019年)。2022年4月に運転開始する予定。
米国駐在中の山下さん。NFLシカゴ・ベアーズの本拠地ソルジャーフィールドで。
シカゴを代表するファストフードはホットドッグ。