If you don't take risks, You'll have a wasted soul.――リスクを冒さないのは人生の浪費だ

Power Of Words 私の好きな言葉

小説家 山内 マリコ

地方に生きる現代の女性たちの在り方や悩みをリアルに描く名手として注目されている小説家・山内マリコさん。28歳でR-18文学賞を受賞後、デビュー作を完成するまでの苦しかった約5年間を支えたのは、あるドキュメンタリー映画の中で出合った言葉だった。
「ハリウッド女優ドリュー・バリモアさんが『リスクを冒さないのは人生の浪費だ』とその映画を撮った監督に言いました。『そのリスクを取ったあなたは、本当にすごい』と監督の勇気を称えるのですが、この言葉は、私の心にも真っ直ぐに突き刺さりました」
当時、作家になれるかどうか、何の保証もないまま上京し、苦闘していた山内さん。「私も今、リスクを冒して頑張っている!」と、胸が熱くなった。感動のあまり、愛用の革製ポーチにもこのフレーズを刻み、常に意識してきた。
「今後も、何か人生の大きな選択をする時には、平穏無事な道ではなく、リスクの高い方を選ぼうと決めています」
自分自身へのストイックさとは裏腹に、山内さんの小説やエッセイの語り口は、やさしく温かい。就職や転職、恋愛、結婚……。押し寄せる人生の岐路に戸惑う若い女性に向けて「そのままの自分で大丈夫だよ」という励ましを贈る。それは不安の日々を過ごす読者の心を照らす光となる。
「今後は、大人の女性に向けては『当たり前と思ってきた常識』を少しずつ崩していくような小説を書きたいと思っています」
同時に、中高生が手に取るような小説も書きたいという山内さん。若い女性たちに、より元気に、よりしなやかに新しい時代を生きていく力になるメッセージを届けていくに違いない。

取材・文/ひだい ますみ

PROFILE

小説家 山内 マリコ

やまうち・まりこ
1980年、富山県生まれ。大阪芸術大学芸術学部映像学科卒業。2008年、『十六歳はセックスの齢』で第7回R-18文学賞・読者賞を受賞。2012年、『ここは退屈迎えに来て』(幻冬舎)が話題を呼ぶ。女性誌の人気連載エッセイや、映画『あのこは貴族』の原作など、若い女性に圧倒的な支持を得ている。