伝統文化いけばな×デジタルの現在
横窪 安奈

Venus Talk

デジタルいけばなアーティスト 横窪安奈

自作の花軸デバイス(タッチペン)を持つ横窪さん。茎のようなタッチペンとチューリップ形の先端部分が、画面上では花として表れる。

茶道や書道と並ぶ日本の伝統文化であるいけばな(華道)。多くの日本人にとっては敷居が高い習い事の一つだろう。
いけばなを気軽に体験できれば、その魅力が伝わり、親しむきっかけになるかもしれない。横窪安奈さんはそんな思いから、デジタル技術を駆使して、誰でも気軽にいけばなを体験できるパソコン用システムを開発した。
「お花を挿す剣山の代わりになるのがパソコンのトラックパッド、お花の代わりはタッチペンです。トラックパッドにタッチペンを挿すと、パソコンの画面上でお花を生けられます」
実際の花や道具を揃える手間やコストがいらない。花材の切りどころを間違えても、すぐに復元可能。初心者にはもってこいのツールだ。
「遠隔地の人も、老若男女が好きな時間に繰り返し、いけばなを練習できます。美しさの『型』も学べます。もちろん上級者にも、高価な花材を使う前のシミュレーションとして役立つと思います」
ゲーム性を持たせて点数をつける、デジタル空間で世界各地の人が大人数で協力していけばなを楽しむイベントなど、横窪さんの胸には、夢が膨らむ。

取材・文/ひだいますみ 写真/竹見 脩吾

デジタル空間では生け方は自由自在。データを保存しておくことも可能。高齢者でも楽に操作できると好評。

PROFILE

デジタルいけばなアーティスト 横窪安奈

よこくぼ あんな
青山学院大学理工学部情報テクノロジー学科助教。博士(理学)。お茶の水女子大学大学院を修了後、2012年、キヤノン株式会社入社。お茶の水大学大学院在学時に提案したプロジェクト、「身近な花材を利用したいけばな支援システムの開発」が未踏IT人材発掘・育成事業の未踏ユースに採択。