運開20年、高みに挑み続ける 風力発電のトップランナー

POWER PEOPLE

苫前ウィンビラ発電所
北海道苫前町

2000年12月、日本の風力発電の黎明期に運転を開始した苫前ウィンビラ発電所。並び立つ風車は大きさ・出力が当時世界最大級で、全19基を合わせた発電所出力3万kW余は国内最大規模を誇った。
J-POWERグループはここを風力開発の足がかりとして、今では全国25地点に約280基の風車を建設、出力合計は優に50万kWを超した。風力事業者として国内2位の規模に成長する上で、この苫前が試金石として果たした役割は決して小さくない。
「クリーンで無尽蔵な国産エネルギーである風力発電は、今日、低炭素社会へ導く電源として一層期待が高まっています。その一方で、パフォーマンスは風況しだいなので、現場のスタッフは日々、点検・保守に駆け回ったり、設備運用を工夫したりと対応に追われています。20年間はその連続でした」
そう語る八木照文所長は、風力を取り巻く環境の変化も感じている。例えば各人のスキルが熟成し、補修や部品調達を自前で迅速に行えるようになったこと。また、風力を志して入社する技術者が増える一方、新規地点の増加による人財確保が課題である。
八木さんは今、グループ初の全面的な設備更新に取り組む。現在19基ある風車(単機出力1,650kW・1,500kW)を国内最大級の風車(同4,300kW)8基に建て替える。
「風車は建て替えても、ゼロから出発ではありません。これまで培ったノウハウやデータ、地域との信頼関係を味方に、スタッフの高度な専門技能を持ち寄って、もう一段の高みに挑戦する覚悟で臨みます」

取材・文/内田 孝 写真/斎藤 泉

北限の日本海を望む広大な丘陵地に、まっ白な風車が19基立ち並ぶ景色は壮観(写真:株式会社ジェイウィンドサービス提供)。
町有地と町道を借り受け、肥育牧場と同居する大規模風力発電所の先駆けとなった。放牧中の牛たちが事務所前まで遊びに来ることも(写真:株式会社ジェイウィンドサービス提供)。
風車のタワー内部を巡視点検。必要なら簡易エレベーターで頂上のナセルにも登る。
事務棟の外観も北国の風力発電所に似つかわしい。
協力会社のスタッフを含めて各人の経験や専門技能を持ち寄り、日々の課題を克服していく。

PROFILE

株式会社ジェイウインドサービス
苫前事業所 所長
八木 照文